低温空気酸化による多孔質竹炭の調製

モウソウチクを原料に炭化し竹炭を得た。炭化時の昇温速度が大きいほどBET比表面積が増加することがわかった。次に調製した竹炭およびヤシ殻炭を280 ℃で2時間,空気酸化するとさらに比表面積が増加し,竹炭で460 m2/gに,ヤシ殻炭で230 m2/gに増加した。灰を取り除いてから空気酸化すると,ヤシ殻炭の比表面積は灰含有の場合と同様に増加したが,竹炭の比表面積は僅かの増大に留まった。竹炭とヤシ殻炭の灰の成分を測定すると,竹炭の灰分にはカリウムが主成分であることがわかった。そこで,4種類のカリウム化合物(KOH,K2CO3,KNO3,KCl)を灰分除去したヤシ殻炭に1:2の重量比で混合して同様に空...

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Published in木材学会誌 Vol. 55; no. 5; pp. 299 - 304
Main Authors 山下, 範之, 町田, 基, 相川, 正美, 立本, 英機
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本木材学会 2009
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Summary:モウソウチクを原料に炭化し竹炭を得た。炭化時の昇温速度が大きいほどBET比表面積が増加することがわかった。次に調製した竹炭およびヤシ殻炭を280 ℃で2時間,空気酸化するとさらに比表面積が増加し,竹炭で460 m2/gに,ヤシ殻炭で230 m2/gに増加した。灰を取り除いてから空気酸化すると,ヤシ殻炭の比表面積は灰含有の場合と同様に増加したが,竹炭の比表面積は僅かの増大に留まった。竹炭とヤシ殻炭の灰の成分を測定すると,竹炭の灰分にはカリウムが主成分であることがわかった。そこで,4種類のカリウム化合物(KOH,K2CO3,KNO3,KCl)を灰分除去したヤシ殻炭に1:2の重量比で混合して同様に空気酸化してみたところ,K2CO3 を混合したものが最も比表面積が大きくなった。これらのことから,竹炭の灰に含まれるカリウム,特にK2CO3 が賦活反応に効果を及ぼし,比表面積が増加したと推察した。
ISSN:0021-4795
1880-7577
DOI:10.2488/jwrs.55.299