1.本州北半部におけるライム病ボレリアの検索(続)(第50回日本衛生動物学会北日本支部大会講演要旨)

「ライム病は北日本に多い」と一般に認識されているが, 北海道はともかく, 東北地方では症例報告が多くなく, 媒介種シュルツェマダニ(Ip)の分布やボレリアの分子疫学など基礎知見も乏しい. そこで, この数年間, 甲信越から東北地方北部までIpと保有体野鼠類につきボレリア保有状況を調べた. 結果は, 東北ではIpを広く見るも密度は常には高くなく, 強毒ボレリア種の保有率も野鼠類ともども低目であった. 加えて, 人口密集地が平野~海岸線に散在するため, 住民のIpとの接触頻度は高いど思われなかった. 甲信越では全て逆の傾向をみた. このように, 東北のIpや野鼠類などの病巣要因および住民の生活要因...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 55; no. 2; p. 131
Main Authors 小野, 恵美, 高田, 伸弘, 石献, 史, 増澤, 俊幸, 藤田, 博己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 2004
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「ライム病は北日本に多い」と一般に認識されているが, 北海道はともかく, 東北地方では症例報告が多くなく, 媒介種シュルツェマダニ(Ip)の分布やボレリアの分子疫学など基礎知見も乏しい. そこで, この数年間, 甲信越から東北地方北部までIpと保有体野鼠類につきボレリア保有状況を調べた. 結果は, 東北ではIpを広く見るも密度は常には高くなく, 強毒ボレリア種の保有率も野鼠類ともども低目であった. 加えて, 人口密集地が平野~海岸線に散在するため, 住民のIpとの接触頻度は高いど思われなかった. 甲信越では全て逆の傾向をみた. このように, 東北のIpや野鼠類などの病巣要因および住民の生活要因の現状は本病発生を助長する方向にはなく, 実際の症例報告も甲信越ほどに多くないことと合致した.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.55.131_1