3 オオサシガメ唾液腺ヘムタンパク質 RpSG-I の血管弛緩物質の特性
我々はこれまでにオオサシガメPhocnius prolixusの唾液腺には少なくとも3つのヘムタンパク質があることを示し, それらをそれぞれ精製した. そのうちRpSG-Iと呼ぶヘムタンパク質についてはcDNAのクローニングを行ない, 塩基配列を解析し構造を明らかにした. RpSG-Iの抗凝固活性と平滑筋弛緩活性を調べたところ, 抗凝固活性を全く示さなかったが, ウサギの動脈の平滑筋を弛緩する活性があることが判った. そこで, 精製したRpSGを用いて血管平滑筋弛緩活性について詳細な検討を行なった. 精製したRpSG-Iは400nmに吸収ピークがあり, 一酸化窒素NOを結合していないと考えられ...
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Published in | Medical Entomology and Zoology Vol. 50; no. 2; p. 195 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本衛生動物学会
1999
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ISSN | 0424-7086 2185-5609 |
DOI | 10.7601/mez.50.195_3 |
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Summary: | 我々はこれまでにオオサシガメPhocnius prolixusの唾液腺には少なくとも3つのヘムタンパク質があることを示し, それらをそれぞれ精製した. そのうちRpSG-Iと呼ぶヘムタンパク質についてはcDNAのクローニングを行ない, 塩基配列を解析し構造を明らかにした. RpSG-Iの抗凝固活性と平滑筋弛緩活性を調べたところ, 抗凝固活性を全く示さなかったが, ウサギの動脈の平滑筋を弛緩する活性があることが判った. そこで, 精製したRpSGを用いて血管平滑筋弛緩活性について詳細な検討を行なった. 精製したRpSG-Iは400nmに吸収ピークがあり, 一酸化窒素NOを結合していないと考えられた. 一方, adenylcyclaseの阻害剤であるmethylene blueによってNOによる弛緩を抑える条件下でも精製したRpSG-Iは濃度依存的に平滑筋弛緩活性を示した. このことはRpSG-Iの平滑筋弛緩活性はNOによるものでないことを意味するので, RpSG-Iのapo-proteinに活性があると考えられた. しかし, RpSG-Iを100C-10min加熱しても活性は失われなかった. 100C-10min熱処理した後, 10,000rpm10min遠心分離すると, 大部分の活性は上清にあった, この上清をCD-10膜によりろ過すると, 活性は完全にろ液にあった. 以上のことから, RpSG-Iは未知の熱に安定な低分子の血管平滑筋弛緩活性物質を結合していると結論した. |
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ISSN: | 0424-7086 2185-5609 |
DOI: | 10.7601/mez.50.195_3 |