両側椎骨動脈起始部閉塞を伴ったvertebral artery stump syndromeの1例

「はじめに」 頸動脈閉塞後, その血管支配領域に塞栓性脳梗塞を来す病態はcarotid stump syndromeと呼ばれ, これまでに複数報告されている. この病態は主に内頸動脈に多く認められるが, 椎骨動脈起始部が閉塞し, その支配領域である椎骨脳底動脈系に脳梗塞を発症した場合には, vertebral artery(VA)stump syndromeと呼ばれる. 本疾患の特徴として以下の4点が挙げられる. (1)後方循環系の脳梗塞が認められること, (2)椎骨動脈起始部の閉塞が確認されること, (5)椎骨動脈起始部閉塞にもかかわらず, その遠位部に順行性血流が存在すること, (4)他の...

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Published inNeurosonology Vol. 38; no. 1; pp. 15 - 19
Main Authors 市川, 剛大, 清水, 高弘, 萩原, 悠太, 深野, 崇之, 三橋, 里美, 宮内, 元樹, 斧研, 洋幸, 秋山, 久尚, 山野, 嘉久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本脳神経超音波と栓子検出学会 2025
日本脳神経超音波と栓子検出学会
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Summary:「はじめに」 頸動脈閉塞後, その血管支配領域に塞栓性脳梗塞を来す病態はcarotid stump syndromeと呼ばれ, これまでに複数報告されている. この病態は主に内頸動脈に多く認められるが, 椎骨動脈起始部が閉塞し, その支配領域である椎骨脳底動脈系に脳梗塞を発症した場合には, vertebral artery(VA)stump syndromeと呼ばれる. 本疾患の特徴として以下の4点が挙げられる. (1)後方循環系の脳梗塞が認められること, (2)椎骨動脈起始部の閉塞が確認されること, (5)椎骨動脈起始部閉塞にもかかわらず, その遠位部に順行性血流が存在すること, (4)他の原因を除外できること. 今回われわれは両側の椎骨動脈起始部閉塞を伴うVA stump syndromeの症例を経験したため, 経過, 診断および頸部血管超音波検査所見について文献的考察を加えて報告する. 本論文発表に関しては患者の同意を得ている.
ISSN:0917-074X
DOI:10.2301/neurosonology.38.15