外国製狂犬病ワクチンに引き続き国産狂犬病ワクチンで狂犬病曝露後発病予防を受けた人々における抗狂犬病抗体価

近年海外で狂犬病危険動物による咬傷を受けて帰国する被害者が増加している. 被害者の約半数は狂犬病曝露後発病予防のために現地で外国製狂犬病ワクチンを1回ないし複数回接種して帰国している. しかし, 日本では外国製狂犬病ワクチンは市販されていないため, 国産狂犬病ワクチンで曝露後発病予防を継続する以外に方法がなく, この場合に発病阻止に十分な抗狂犬病抗体が産生されるか否かを調査した報告がなかった. 当院のワクチン外来を受診した海外動物咬傷被害者での抗体検査の結果では, 外国でベロ細胞狂犬病ワクチン (PVRV) ないしニワトリ胚細胞狂犬病ワクチン (PCEC) の接種を受けて帰国した被害者に国産ワ...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 76; no. 10; pp. 882 - 887
Main Authors 高山, 直秀, 菅沼, 明彦, 倉井, 大輔, 笠井, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.10.2002
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.76.882

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Summary:近年海外で狂犬病危険動物による咬傷を受けて帰国する被害者が増加している. 被害者の約半数は狂犬病曝露後発病予防のために現地で外国製狂犬病ワクチンを1回ないし複数回接種して帰国している. しかし, 日本では外国製狂犬病ワクチンは市販されていないため, 国産狂犬病ワクチンで曝露後発病予防を継続する以外に方法がなく, この場合に発病阻止に十分な抗狂犬病抗体が産生されるか否かを調査した報告がなかった. 当院のワクチン外来を受診した海外動物咬傷被害者での抗体検査の結果では, 外国でベロ細胞狂犬病ワクチン (PVRV) ないしニワトリ胚細胞狂犬病ワクチン (PCEC) の接種を受けて帰国した被害者に国産ワクチンを継続接種しても合計5回のワクチン接種後には発症防御に十分なレベルの抗体が産生されることが判明した. しかし, 海外でPVRVを1回だけ接種して帰国後国産ワクチンで接種を継続した場合に3回接種後の抗体価が発症防御レベルに達しない例が有意に多くみられた. 海外で顔面, 手指などの危険部位に咬傷を受けて現地でPVRVを1回接種して帰国した例では, 抗体産生を促進するために継続する狂犬病ワクチンを皮内一皮下併用方式で接種することを考慮する必要もあろう.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.76.882