9 人体寄生頻度の高いマダニ属の同定法

臨床家から, さまざまな状態の標本についてヤマト, シュルツェ, タネガタ, ヒトツトゲの各マダニの同定依頼を受ける. 各種の背面からみえる分類形質には, 胴体部や脚の色調, 背板の概形, 胴体部の剛毛の数と性状, 脚の太さ, なとがある. また, 脚基節の棘と紋様などは腹面に具わる分類形質でる. 顎体部には口下片の形態と歯式, 触肢の概形などの分類形質があるが, 実際には顎体部をみないで同定を済ませることが多い. 依頼される標本に含まれる著しく破損した標本についても, 何れかの分類形質を探して, 種の同定に到達する. 虫体の大部分が失われ, 顎体部または口器だけが残る皮膚片が提出される場合に...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 50; no. 2; p. 186
Main Author 内川, 公人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 1999
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.50.186_1

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Summary:臨床家から, さまざまな状態の標本についてヤマト, シュルツェ, タネガタ, ヒトツトゲの各マダニの同定依頼を受ける. 各種の背面からみえる分類形質には, 胴体部や脚の色調, 背板の概形, 胴体部の剛毛の数と性状, 脚の太さ, なとがある. また, 脚基節の棘と紋様などは腹面に具わる分類形質でる. 顎体部には口下片の形態と歯式, 触肢の概形などの分類形質があるが, 実際には顎体部をみないで同定を済ませることが多い. 依頼される標本に含まれる著しく破損した標本についても, 何れかの分類形質を探して, 種の同定に到達する. 虫体の大部分が失われ, 顎体部または口器だけが残る皮膚片が提出される場合には, KOHで溶融して残存虫体部を分離し, 口下片の形態と歯式によって同定する. 口下片が欠如するときには, 鋏子の外分節external articleの形態をみて同定すればよい.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.50.186_1