8 ソロモン諸島のハマダラカの殺虫剤耐性遺伝子変異の検討(第59回日本衛生動物学会東日本支部大会講演要旨)

今日のマラリア対策に殺虫剤浸漬蚊帳が推奨される一方で, 使用薬剤であるpermethrinに耐性のハマダラカの出現がアフリカで報告されている. この事実はマラリア対策の実効性に直接影響するため, 流行地ではこの点のモニタリング調査が必要である. ソロモン諸島ではAnopheles farautiが主要なマラリア媒介蚊である. そのpermethrin耐性の手がかりとしてVGSC遺伝子ドメインIIのkdr(knock-down resistnace)変異に着目し, その遺伝子変異の現状を調査した. ソロモン諸島のガダルカナル島及びマライタ島でA. farautiを52検体採集し, Martine...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 59; no. 2; p. 105
Main Authors 井上, 芳門, 羽藤, 真理子, 村主, 節雄, 川端, 真人, 太田, 伸生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 2008
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Summary:今日のマラリア対策に殺虫剤浸漬蚊帳が推奨される一方で, 使用薬剤であるpermethrinに耐性のハマダラカの出現がアフリカで報告されている. この事実はマラリア対策の実効性に直接影響するため, 流行地ではこの点のモニタリング調査が必要である. ソロモン諸島ではAnopheles farautiが主要なマラリア媒介蚊である. そのpermethrin耐性の手がかりとしてVGSC遺伝子ドメインIIのkdr(knock-down resistnace)変異に着目し, その遺伝子変異の現状を調査した. ソロモン諸島のガダルカナル島及びマライタ島でA. farautiを52検体採集し, Martinez-Torresらの方法に従ってPCRによる判定を試みた. その結果39検体で判定が可能であったが, すべてにおいてkdrはなかったしかし13検体ではPCRでバンドの増幅がみられず, 判定が出来なかった. また, パプアニューギニアのA. farauti30検体についても調査を行ったが, 全例でPCRの増幅が出来ず, kdrの有無について判定できなかった. 以上の結果から, DNA配列が決定できたサンプルに関する限り, ソロモンのマラリア媒介蚊にはpermethrin耐性遺伝子変異は生じていないと考えられたが, 耐性遺伝子変異の判定が出来ないサンプルも25%存在し, 今後の方法の改良を行う必要があることがわかった.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.59.105_2