4 無吸血産卵性イナトミシオカの継代飼育について(一般講演,第55回日本衛生動物学会南日本支部大会講演要旨)

我が国に生息するイナトミシオカCulex modestus inatomiiは, ウエストナイルウイルス媒介の可能性が示唆されている. そのウイルス媒介能を詳細に検討するためには, 実験室内での飼育維持が必要である. 本種幼虫を採集した発生水域が, 海水の混じった汽水域であったことから, 実験室内で真水を使って継代飼育可能かどうかを検討した. 2004年の予備実験では, 汲み置き水の入ったホーローバットを使って幼虫を飼育すると, 蛹と成虫個体数が先細りとなりF2で継代が途絶えた. 本種幼虫の発生水域の塩分濃度が0.4~0.5%だった事に着目して, 適度な塩分を含む汲み置き水での幼虫飼育を試みた...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 57; no. 2; p. 172
Main Authors 多森, 直樹, 江下, 優樹, 加藤, 幸太郎, 上田, 泰史, 東原, 絢子, 水田, 英生, 岡田, 貴志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 2006
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.57.172_4

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Summary:我が国に生息するイナトミシオカCulex modestus inatomiiは, ウエストナイルウイルス媒介の可能性が示唆されている. そのウイルス媒介能を詳細に検討するためには, 実験室内での飼育維持が必要である. 本種幼虫を採集した発生水域が, 海水の混じった汽水域であったことから, 実験室内で真水を使って継代飼育可能かどうかを検討した. 2004年の予備実験では, 汲み置き水の入ったホーローバットを使って幼虫を飼育すると, 蛹と成虫個体数が先細りとなりF2で継代が途絶えた. 本種幼虫の発生水域の塩分濃度が0.4~0.5%だった事に着目して, 適度な塩分を含む汲み置き水での幼虫飼育を試みた. 2005年に, 再度同じ発生水域から幼虫を採集して, 0~2%塩分を含む水に幼虫を入れて, エアレーションを行いながら飼育を試みた. その結果, 0%よりも0.5%の幼虫群から得られた羽化成虫の割合が高かった. なお, 1%以上では成虫は得られなかった. 0.5%の塩水を使って少なくともF5成虫が現在得られていることから, イナトミシオカの継代飼育が可能と思われた. 今後は得られた蚊を使って, ウイルス媒介試験を予定している.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.57.172_4