3 北陸の大学に持ち込まれるマダニ刺症例,北日本との絡み(第54回日本衛生動物学会北日本支部大会講演要旨)

マダニ媒介性の感染症, 特に新興再興感染症が注目を集めるようになってからは, マダニの人体寄生例の集積と分析は以前にも増して重要な意味を持っている, そういう中で, 我々の研究室は当該分野の研究に従事して来たためか. 北陸のみならず各地からマダニ寄生例を持ち込まれることがある. 今回, 2006年春から2007年夏までの間に福井大学医学部および金沢医科大学に持ち込まれた16症例を概観してみると, 原因マダニ種は, オーストラリア由来のIxodes holocrclus1種を除いて, Ixodes nipponensis, I. ovatus, I. persulcats, Haemaphysa...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 59; no. 2; p. 95
Main Authors 高田, 伸弘, 及川, 陽三郎, 矢野, 泰弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 2008
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.59.95_4

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Summary:マダニ媒介性の感染症, 特に新興再興感染症が注目を集めるようになってからは, マダニの人体寄生例の集積と分析は以前にも増して重要な意味を持っている, そういう中で, 我々の研究室は当該分野の研究に従事して来たためか. 北陸のみならず各地からマダニ寄生例を持ち込まれることがある. 今回, 2006年春から2007年夏までの間に福井大学医学部および金沢医科大学に持ち込まれた16症例を概観してみると, 原因マダニ種は, オーストラリア由来のIxodes holocrclus1種を除いて, Ixodes nipponensis, I. ovatus, I. persulcats, Haemaphysalis longicornis, Amblyomma testudinariumの3属5種で, 当然ながら大半が西日本各地で発生したものであった. しかし. うち3例のI. persulcatusは北海道に由来するものであった. すなわち, 西日本の医療機関にあっても北日本由来のマダニ種の寄生, したがってそれが媒介するかも知れない感染症(未知の病種すらあり得ること)についても認識を持つべきことが改めて示されている. 他方, 過去の持ち込み例を調べてみた場合, 四国など西日本の高山帯由来のシュルツェマダニ寄生例なども散見されて, これは北日本と微妙に共通する感染症の可能性まで考慮せねばならないことを示している.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.59.95_4