アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂クレイナノコンポジットの作製と特性

オクタデシルアンモニウム,オクタデシルトリメチルアンモニウム,ジオクタデシルジメチルアンモニウムで有機化したクレイ(モンモリロナイト)とアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)を二軸押出機で溶融・混練し,複合化した.有機化に用いたアンモニウムを変化させたことに加えて,混練時の二軸押出機のスクリュー回転数を変えた検討も行った.得られた複合材料では,複合化前に比べ有機化モンモリロナイトの層間が拡大し,モンモリロナイトの層間へポリマーが挿入されたことが確認された.その層間距離は,モンモリロナイトを処理したアンモニウムの種類や混練時の二軸押出機のスクリュー回転数に影響されず,約 3.3 n...

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Published in高分子論文集 Vol. 65; no. 6; pp. 433 - 439
Main Authors 岡本, 浩孝, 臼杵, 有光, 加藤, 誠, 白井, 純二, 長谷川, 直樹, 若林, 宏之, 稲井, 勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2008
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ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.65.433

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Summary:オクタデシルアンモニウム,オクタデシルトリメチルアンモニウム,ジオクタデシルジメチルアンモニウムで有機化したクレイ(モンモリロナイト)とアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)を二軸押出機で溶融・混練し,複合化した.有機化に用いたアンモニウムを変化させたことに加えて,混練時の二軸押出機のスクリュー回転数を変えた検討も行った.得られた複合材料では,複合化前に比べ有機化モンモリロナイトの層間が拡大し,モンモリロナイトの層間へポリマーが挿入されたことが確認された.その層間距離は,モンモリロナイトを処理したアンモニウムの種類や混練時の二軸押出機のスクリュー回転数に影響されず,約 3.3 nm を示し,これらのことから本検討系では層間にポリマーが挿入されたいわゆる層間挿入型のナノコンポジットが安定的に形成されることがわかった.透過型電子顕微鏡で,モンモリロナイトのシリケート層の分散状態を観察した結果,シリケート層は,層間が拡大した状態でポリブタジエンのドメインの周囲に分散していることがわかった.得られたナノコンポジットでは,有機化モンモリロナイトの 5 wt%の添加で,引張弾性率に対して約 1.2 倍補強効果を示すことがわかった.また,動的粘弾性試験により,貯蔵弾性率の温度分散を測定した結果,0~100℃ の範囲で,温度に依存しない補強効果を示すことがわかった.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.65.433