3 食品工場におけるライトトラップを主体にした害虫モニタリング調査(第54回日本衛生動物学会南日本支部大会講演要旨)

食品工場における昆虫管理は異物混入対策だけでなく, 病原性微生物対策上も重要性を見直す時期が来ている. 一方, 昆虫管理方法自体はHACCPやIPMの導入により, 侵入防止と発生源対策を最重要視しなければならない, このため, 我々は正確かつ状況に応じた方法で昆虫の生患状況を把握するための調査法の検討を進めている. 今回, 北部九州の製麺工場において実施しているモニタリング調査に関し, 平成16年4月から9月の結果についてとりまとめたので, その結果を報告する. 定期調査は, ライトトラップを主体とし, 発生源調査は残渣汚泥回収及びフェロモントラップにより実施した. 工場内は全区域における昆虫...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 56; no. 2; p. 177
Main Authors 原, 弘之, 鳥谷, 健一, 荻野, 和正, 大園, 右文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 2005
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Summary:食品工場における昆虫管理は異物混入対策だけでなく, 病原性微生物対策上も重要性を見直す時期が来ている. 一方, 昆虫管理方法自体はHACCPやIPMの導入により, 侵入防止と発生源対策を最重要視しなければならない, このため, 我々は正確かつ状況に応じた方法で昆虫の生患状況を把握するための調査法の検討を進めている. 今回, 北部九州の製麺工場において実施しているモニタリング調査に関し, 平成16年4月から9月の結果についてとりまとめたので, その結果を報告する. 定期調査は, ライトトラップを主体とし, 発生源調査は残渣汚泥回収及びフェロモントラップにより実施した. 工場内は全区域における昆虫生息調査では, 内部発生兼外部侵入種としてユスリカ, チョウバエ, チャタテ, 内部発生種ではシバンムシ, 外部侵入種としてはクロバネキノコバエ, ノミバエ, タマカ等が主要な種であった. 工場を内部製造区域と搬入口と接する侵入区域に分けると, 侵入区域では外部から侵入する昆虫種が大勢を占めた. 一方, 内部製造エリアでは内部発生であるチャタテ, シバンムシが大勢を占め, 外部侵入虫の多くは内部発生虫に寄生するハチ類や内部発生虫を捕食する昆虫所謂天敵昆虫であった. 寄生蜂類の消長は貯穀害虫類の消長と同様の傾向が見られた上, 発生源調査の培地よりタマゴバチ科種の発生も確認された. 発生源調査においては, ライトトラップに捕獲されない貯穀害虫も大量に発生しており, 寄生蜂の飛来と非走光性昆虫潜伏の関連も示唆された. フェロモントラップによる調査において, シバンムシ, ノシメマダラメイガ共にライトトラップと同時期に捕獲されており, 調査には併用が望ましいと考えた. 特にノシメマダラメイガはライトトラップより効率良く捕獲された.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.56.177_3