外科的治療にて救命した急性広範囲型肺血栓塞栓症患者の治療経験
症例は77歳,女性。呼吸困難を主訴に救急外来に搬送された。来院時,心拍数111 /min,血圧70/52 mmHg,経皮的動脈血酸素飽和度91%(room air)であった。心電図で右側胸部誘導のST低下を認め,経胸壁心エコーでは右室は著明に拡大し,造影CTで両側肺動脈に広範囲の血栓を認めたため,急性広範囲型肺血栓塞栓症と診断された。抗凝固療法に並行し,肺動脈血栓摘除術の方針とした。急激な循環虚脱に備え,経皮的心肺補助装置を準備の上,肺動脈血栓摘出術を施行した。術後の呼吸循環動態は安定しており,術翌日に人工呼吸器から離脱し,カテコラミン投与を終了した。術後4日目にはICUを退室した。急性広範囲...
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Published in | 日本集中治療医学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 323 - 326 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本集中治療医学会
2017
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-7988 1882-966X |
DOI | 10.3918/jsicm.24_323 |
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Summary: | 症例は77歳,女性。呼吸困難を主訴に救急外来に搬送された。来院時,心拍数111 /min,血圧70/52 mmHg,経皮的動脈血酸素飽和度91%(room air)であった。心電図で右側胸部誘導のST低下を認め,経胸壁心エコーでは右室は著明に拡大し,造影CTで両側肺動脈に広範囲の血栓を認めたため,急性広範囲型肺血栓塞栓症と診断された。抗凝固療法に並行し,肺動脈血栓摘除術の方針とした。急激な循環虚脱に備え,経皮的心肺補助装置を準備の上,肺動脈血栓摘出術を施行した。術後の呼吸循環動態は安定しており,術翌日に人工呼吸器から離脱し,カテコラミン投与を終了した。術後4日目にはICUを退室した。急性広範囲型肺血栓塞栓症では,早期診断と適切な早期治療が大きく死亡率を改善させる。救命するには呼吸循環補助を含め,各部門と連携した集学的治療が必要であり,常に外科的治療を念頭に置き対応する必要がある。 |
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ISSN: | 1340-7988 1882-966X |
DOI: | 10.3918/jsicm.24_323 |