多発性骨髄腫を合併した巨大縦隔脂肪腫様脂肪肉腫の1切除例

症例は75歳,男性.2ヵ月前より労作時呼吸困難を自覚し,胸部CTにて上縦隔から大動脈弓をはさむように前縦隔と中縦隔に進展し,気管を右側に圧排する脂肪濃度の巨大腫瘍を認めた.精査にて多発性骨髄腫の合併を認めたが,腫瘍による呼吸器症状が出現していることから,多発性骨髄腫の治療に先行し縦隔腫瘍摘出術を施行した.多発性骨髄腫のため,胸骨は脆弱で骨髄からの完全止血が困難であり,血小板減少症に対しては血小板輸血が必要であった.しかし,腫瘍は比較的しっかりとした被膜に覆われており,胸腔鏡を併用して一塊として切除でき,病理診断で脂肪腫様脂肪肉腫の診断を得た.多発性骨髄腫に合併した稀な縦隔脂肪肉腫の切除症例を経...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 81 - 85
Main Authors 大野, 暢宏, 河野, 朋哉, 寺田, 泰二, 坂口, 泰人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2009
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.23.081

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Summary:症例は75歳,男性.2ヵ月前より労作時呼吸困難を自覚し,胸部CTにて上縦隔から大動脈弓をはさむように前縦隔と中縦隔に進展し,気管を右側に圧排する脂肪濃度の巨大腫瘍を認めた.精査にて多発性骨髄腫の合併を認めたが,腫瘍による呼吸器症状が出現していることから,多発性骨髄腫の治療に先行し縦隔腫瘍摘出術を施行した.多発性骨髄腫のため,胸骨は脆弱で骨髄からの完全止血が困難であり,血小板減少症に対しては血小板輸血が必要であった.しかし,腫瘍は比較的しっかりとした被膜に覆われており,胸腔鏡を併用して一塊として切除でき,病理診断で脂肪腫様脂肪肉腫の診断を得た.多発性骨髄腫に合併した稀な縦隔脂肪肉腫の切除症例を経験したので報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.23.081