自殺企図にて迷入した木片異物による縦隔炎の1例

自殺企図にて木片を口腔内に刺傷し,その迷入した木片異物による縦隔炎を発症した1例を経験した.症例は31歳,女性.2005年5月,夫が妻の不在に気づき捜索していたところ近くの山林内で発見され,縊首を図った形跡があり,当院救急搬送された.頚部に擦過傷を認める以外に異常はなく,胸部X線で左側頚部に陰影を認め,胸部CTで頚部から縦隔に気腫を認めた.気管支鏡では咽頭に小隆起を認めたが,気管および気管支内腔に異常を認めなかった.入院3日目に左頚部痛の訴えがあり,胸部CTの再検にて左頚部から大動脈弓近傍に至る縦隔内に径1.5cm,長さ12cmの迷入木片を疑わせる陰影が認められたため,緊急手術を施行した.頚部...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 22; no. 1; pp. 77 - 81
Main Authors 吉田, 和夫, 近藤, 竜一, 椎名, 隆之, 冨永, 義明, 小林, 宣隆, 江口, 隆, 加藤, 響子, 天野, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2008
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.22.077

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Summary:自殺企図にて木片を口腔内に刺傷し,その迷入した木片異物による縦隔炎を発症した1例を経験した.症例は31歳,女性.2005年5月,夫が妻の不在に気づき捜索していたところ近くの山林内で発見され,縊首を図った形跡があり,当院救急搬送された.頚部に擦過傷を認める以外に異常はなく,胸部X線で左側頚部に陰影を認め,胸部CTで頚部から縦隔に気腫を認めた.気管支鏡では咽頭に小隆起を認めたが,気管および気管支内腔に異常を認めなかった.入院3日目に左頚部痛の訴えがあり,胸部CTの再検にて左頚部から大動脈弓近傍に至る縦隔内に径1.5cm,長さ12cmの迷入木片を疑わせる陰影が認められたため,緊急手術を施行した.頚部を切開して左頚動脈と頚部食道の間に木片を確認後,木片を切断して摘除した.体位を右側臥位にし,胸腔鏡下に左上縦隔の胸膜を開放し,縦隔ドレナージを施行した.縦隔内に迷入した木片異物の診断に3次元CTが有効であった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.22.077