子宮摘出および両側付属器摘出術後に再発した,横隔膜異所性子宮内膜症の1例

症例は46歳,女性.既往歴に,保存的に軽快した右血気胸があり,臨床経過から月経随伴性気胸と診断され,子宮摘出および両側付属器摘出術が施行された.右背部痛と呼吸困難を主訴に,当院へ救急搬送された.胸部X線写真で右血気胸と診断し,緊急入院した.胸腔ドレナージを施行したが出血が持続するため,緊急手術を施行した.胸腔鏡で胸腔内を観察すると,肺尖の索状癒着の断裂部に出血点を認めた.また,横隔膜上にblueberry spotと明らかな瘻孔を認めたため,同部を自動縫合器で部分切除した.切除した横隔膜には病理組織学的に,異所性子宮内膜組織を認めた.本症例は子宮摘出後の発症であり,月経随伴性気胸の発生機序を検...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 22; no. 1; pp. 50 - 54
Main Authors 大森, 隆広, 坂本, 和裕, 西井, 鉄平, 前原, 孝光, 山仲, 一輝, 藤井, 慶太, 正津, 晶子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2008
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.22.050

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Summary:症例は46歳,女性.既往歴に,保存的に軽快した右血気胸があり,臨床経過から月経随伴性気胸と診断され,子宮摘出および両側付属器摘出術が施行された.右背部痛と呼吸困難を主訴に,当院へ救急搬送された.胸部X線写真で右血気胸と診断し,緊急入院した.胸腔ドレナージを施行したが出血が持続するため,緊急手術を施行した.胸腔鏡で胸腔内を観察すると,肺尖の索状癒着の断裂部に出血点を認めた.また,横隔膜上にblueberry spotと明らかな瘻孔を認めたため,同部を自動縫合器で部分切除した.切除した横隔膜には病理組織学的に,異所性子宮内膜組織を認めた.本症例は子宮摘出後の発症であり,月経随伴性気胸の発生機序を検討する上で貴重な症例であるとともに,卵巣摘出後も異所性子宮内膜が活動性を持ちうることを示唆する症例であった.当院で手術を施行した月経随伴性気胸計5例をまとめ,検討した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.22.050