口腔外科領域疾患に対するNd-YAGレーザー治療の臨床評価

口腔外科の外来患者140例 (1988~1997) に対してNd-YAGレーザーを用いて治療を行い, 臨床評価を行った. 症例は白板症44例, 血管腫23例, 線維腫12例, 乳頭腫12例, 口腔扁平苔癬12例, 悪性腫瘍5例およびその他で, これらの治療は高出力にて行った. 本研究の目的は, 口腔外科領域の疾患に対するNd-YAGレーザー治療の臨床的有用性を評価することである. Nd-YAGレーザー治療は, 線維腫, 乳頭腫, 肉芽腫および腫瘍の直径が30mm以下の血管腫などの良性腫瘍においては再発もなく経過良好であった. しかし, 直径が30mmを越える比較的大きな血管腫や口唇部にみられた...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 19; no. 2; pp. 87 - 92
Main Authors 石井, 準之助, 藤田, 邦夫, 藤盛, 真澄, 飯塚, 譲二, 島田, 桂吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 1998
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:口腔外科の外来患者140例 (1988~1997) に対してNd-YAGレーザーを用いて治療を行い, 臨床評価を行った. 症例は白板症44例, 血管腫23例, 線維腫12例, 乳頭腫12例, 口腔扁平苔癬12例, 悪性腫瘍5例およびその他で, これらの治療は高出力にて行った. 本研究の目的は, 口腔外科領域の疾患に対するNd-YAGレーザー治療の臨床的有用性を評価することである. Nd-YAGレーザー治療は, 線維腫, 乳頭腫, 肉芽腫および腫瘍の直径が30mm以下の血管腫などの良性腫瘍においては再発もなく経過良好であった. しかし, 直径が30mmを越える比較的大きな血管腫や口唇部にみられたものでは腫瘍が残存するものがあった. 口腔白板症では, ある一定の期間においては経過良好であった, しかし, 44例中17例 (38.6%) に再発が認められた. また, 舌白板症のなかには悪性転化した症例も認められた. 舌白板症は悪性転化の頻度が他の部位のものと比べると高いようであるので, 十分な経過観察が必要であることが示唆された. そのため, 必ず外科手術の前に生検術を施行する必要がある. 口腔扁平苔癬は, 16例中12例 (75%) に再発が認められた. これは, 本疾患に対するNd-YAGレーザーでの治療が適応されない可能性のあることが示唆された. それらを明らかにするためには, 他の種類のレーザー治療や他の治療法での結果と比較する必要がある.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm1980.19.2_87