人工股関節症例における寛骨臼形成不全の検討 何故?日本に二次性変形性股関節症が多いのか

我が国は,二次性変形性股関節症が多い.従来,乳児期の股関節脱臼がその原因と考えられていたが,乳児期の股関節脱臼が激減したにも拘らず,未だに二次性変形性股関節症が多いので,その理由を人工股関節施行例から検討した.2018年10月から実施した人工股関節158例のうち,寛骨臼形成不全を呈した106例を対象とした.成長期のスポーツ歴を採取し,立位の骨盤側面像を加えて検討した.乳児期に股関節脱臼の既往があるものを脱臼群,既往がなく大腿骨側の変形が少なく両側の同程度の寛骨臼形成不全を呈するものを成長期群とし,骨盤後傾があるものを骨盤後傾群とした.脱臼群は43例,成長群は33例,骨盤後傾群は21例で,残り9...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 71; no. 2; pp. 224 - 228
Main Authors 田中, 順子, 荻野, 美佐, 吉光, 一浩, 田中, 康嗣, 樋口, 富士男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2022
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.71.224

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Summary:我が国は,二次性変形性股関節症が多い.従来,乳児期の股関節脱臼がその原因と考えられていたが,乳児期の股関節脱臼が激減したにも拘らず,未だに二次性変形性股関節症が多いので,その理由を人工股関節施行例から検討した.2018年10月から実施した人工股関節158例のうち,寛骨臼形成不全を呈した106例を対象とした.成長期のスポーツ歴を採取し,立位の骨盤側面像を加えて検討した.乳児期に股関節脱臼の既往があるものを脱臼群,既往がなく大腿骨側の変形が少なく両側の同程度の寛骨臼形成不全を呈するものを成長期群とし,骨盤後傾があるものを骨盤後傾群とした.脱臼群は43例,成長群は33例,骨盤後傾群は21例で,残り9例はいずれにも該当しなかった.成長期群でスポーツ歴があるのは27例であった.成長期のスポーツと高齢期の骨盤後傾が,寛骨臼形成不全の誘因となり,これらが加わり二次性変形性股関節症が多いと考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.71.224