愛媛県で分離されたRickettsia tsutsugamushiの性状

1987年12月より1990年1月にかけて, 愛媛県今治市野間地区で感染したつつが虫病患者より1株 (山崎株), 同地区の野鼠より1株 (野間-3株), 愛媛県宇和島市柿原地区の野鼠より3株 (柿原-10,-11,-12株) のR. tsutsugamuskiを分離した. 分離株は, いずれも健常マウスに対して病原性を示した. これらの株のうち, 山崎株と柿原-10株について, 感染マウスの脾乳剤を用いて, BALB/c系マウスの腹腔内接種法でLD50を算定すると, 山崎株は10-3.0, 柿原-10株は10-1.8を示した. これらの分離株の免疫学的性状は, 先に私どもが作製したR. tsu...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 66; no. 8; pp. 1015 - 1021
Main Authors 岡田, 貴典, 兼光, 望, 坪井, 敬文, 丹下, 宜紀, 小林, 譲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.08.1992
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.66.1015

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Summary:1987年12月より1990年1月にかけて, 愛媛県今治市野間地区で感染したつつが虫病患者より1株 (山崎株), 同地区の野鼠より1株 (野間-3株), 愛媛県宇和島市柿原地区の野鼠より3株 (柿原-10,-11,-12株) のR. tsutsugamuskiを分離した. 分離株は, いずれも健常マウスに対して病原性を示した. これらの株のうち, 山崎株と柿原-10株について, 感染マウスの脾乳剤を用いて, BALB/c系マウスの腹腔内接種法でLD50を算定すると, 山崎株は10-3.0, 柿原-10株は10-1.8を示した. これらの分離株の免疫学的性状は, 先に私どもが作製したR. tsutsugamuski Gilliam, Karp, 加藤, 入江, 平野, 霜越の各株に対するモノクローナル抗体を用いた免疫蛍光抗体法による解析の結果, 野間地区で分離された2株はKarp型と同定されたが, 柿原地区で分離された3株は加藤型と同定され, 愛媛県下のR. tsutsugamuskiは血清型に差があることが明らかになった. また, これらの分離株は, 新型つつが虫病リケッチアの代表株である入江, 平野, 霜越株の型特異的なモノクローナル抗体とは反応が認められず, 抗原性の相違が示された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.66.1015