セリサイトの複素比抵抗測定

愛知県粟代鉱山のセリサイト鉱脈は,IP法電気探査によって低比抵抗・高充電率異常としてとらえられる。我々はこの鉱山からセリサイト原鉱および母岩をサンプリングして,それらの試料の複素比抵抗を測定した。セリサイトは低比抵抗ではあるが,IP効果がほとんど認められず,一方,母岩にはIP効果が認められた。そこで,変質の異なる安山岩,純粋なセリサイトに黄鉄鉱粒子を混ぜた人工サンプル,含水率や鉱物含有率の異なる6 種類のセリサイト原鉱の複素比抵抗を測定した。これらの測定によって,1) セリサイトそのものにはほとんどIP効果が無いこと,2) IP異常の大きさは熱水変質で生じた黄鉄鉱のような金属鉱物の含有量に左右...

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Published in物理探査 Vol. 66; no. 2; pp. 119 - 125
Main Authors 中田, 孝二, 村上, 浩康, 高倉, 伸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 物理探査学会 2013
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ISSN0912-7984
1881-4824
DOI10.3124/segj.66.119

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Summary:愛知県粟代鉱山のセリサイト鉱脈は,IP法電気探査によって低比抵抗・高充電率異常としてとらえられる。我々はこの鉱山からセリサイト原鉱および母岩をサンプリングして,それらの試料の複素比抵抗を測定した。セリサイトは低比抵抗ではあるが,IP効果がほとんど認められず,一方,母岩にはIP効果が認められた。そこで,変質の異なる安山岩,純粋なセリサイトに黄鉄鉱粒子を混ぜた人工サンプル,含水率や鉱物含有率の異なる6 種類のセリサイト原鉱の複素比抵抗を測定した。これらの測定によって,1) セリサイトそのものにはほとんどIP効果が無いこと,2) IP異常の大きさは熱水変質で生じた黄鉄鉱のような金属鉱物の含有量に左右されること,3) セリサイト原鉱の種類によって複素比抵抗の周波数依存性が違うことが確認された。当該鉱山で生産されるセリサイトは多量の黄鉄鉱を伴っていることが多いので,IP法がセリサイトの探査に有効であることは確かである。セリサイト原鉱中の鉱物含有量と複素比抵抗の周波数依存性の関係が明らかになれば,スペクトルIP法によって現場でセリサイト原鉱の識別も可能になると期待される。
ISSN:0912-7984
1881-4824
DOI:10.3124/segj.66.119