甲状腺癌頸部郭清術症例のリンパ漏についての検討

目的:甲状腺癌における頸部郭清術後のリンパ漏増悪リスク因子について検証する。 対象:甲状腺乳頭癌に対し原発切除と同時に頸部郭清術を施行した50例。 結果:郭清側は右側18例,左側24例,両側8例。左右の郭清においてドレナージ持続期間は左側の方が有意に延長した。術後嘔気嘔吐が遷延した症例は左側においてドレナージ持続期間が有意に延長した。 結論:ドレナージ持続期間は左側において有意に延長しており,胸管が流入する静脈角を有する左側はリンパ流量が豊富であるためと考えられた。術後嘔気嘔吐とドレナージ持続期間の相関を認め,嘔気嘔吐対策によりリンパ漏が軽減する可能性が示唆された。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 33; no. 2; pp. 155 - 161
Main Authors 吉村, 理, 鈴木, 章之, 稲村, 直哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2023
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.33.155

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Summary:目的:甲状腺癌における頸部郭清術後のリンパ漏増悪リスク因子について検証する。 対象:甲状腺乳頭癌に対し原発切除と同時に頸部郭清術を施行した50例。 結果:郭清側は右側18例,左側24例,両側8例。左右の郭清においてドレナージ持続期間は左側の方が有意に延長した。術後嘔気嘔吐が遷延した症例は左側においてドレナージ持続期間が有意に延長した。 結論:ドレナージ持続期間は左側において有意に延長しており,胸管が流入する静脈角を有する左側はリンパ流量が豊富であるためと考えられた。術後嘔気嘔吐とドレナージ持続期間の相関を認め,嘔気嘔吐対策によりリンパ漏が軽減する可能性が示唆された。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.33.155