術後のImatinib mesylate投与が有効と考えられた,腹膜播種を伴う小腸GISTの1切除症例
症例は46歳の男性で,腹痛とふらつきを主訴に来院した.腹部は膨満し,下腹部に手拳大の腫瘤を触知した.腹部USおよび腹部CTで腹腔内に大量の液体貯留と腫瘤を認めた.腹水穿刺で血液を吸引したため腫瘤からの腹腔内出血と診断し,緊急手術を施行した.腫瘍は小腸間膜に存在し,表面から出血していた.また,腸間膜に多数の播種を認めた.腫瘍を含めて小腸を切除し,播種は電気メスで焼灼した.標本は12×10×6cmの充実性腫瘍で,割面は白色分葉状で一部に出血を認めた.免疫染色検査では腫瘍細胞はc-kit,CD34が陽性でα-smooth muscle actin(SMA),S-100は陰性であり,小腸のgastro...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 5; pp. 530 - 536 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.05.2012
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Summary: | 症例は46歳の男性で,腹痛とふらつきを主訴に来院した.腹部は膨満し,下腹部に手拳大の腫瘤を触知した.腹部USおよび腹部CTで腹腔内に大量の液体貯留と腫瘤を認めた.腹水穿刺で血液を吸引したため腫瘤からの腹腔内出血と診断し,緊急手術を施行した.腫瘍は小腸間膜に存在し,表面から出血していた.また,腸間膜に多数の播種を認めた.腫瘍を含めて小腸を切除し,播種は電気メスで焼灼した.標本は12×10×6cmの充実性腫瘍で,割面は白色分葉状で一部に出血を認めた.免疫染色検査では腫瘍細胞はc-kit,CD34が陽性でα-smooth muscle actin(SMA),S-100は陰性であり,小腸のgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した.術後早期よりimatinib mesylate 400mg/日の内服を継続し,術後5年の現在,無再発生存中である. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.45.530 |