橈骨遠位端回旋変形癒合に末梢神経障害が合併した1例 内モンゴルでの保存治療後

【背景】今回,橈骨遠位端骨折の保存治療後に回旋変形癒合による可動域制限と末梢神経障害を合併した症例を経験したので報告する.【症例】36歳女性.内モンゴルにて受傷し,近医にてNelaton副子による保存治療を行なわれた.受傷後4か月時の帰国を機に手関節可動域制限と手の知覚障害にて初診された.X線ではRI20°,VT-8°,UV0mmで,CTでは橈骨の回内方向への回旋変形を認めた.可動域は掌背屈85°/90°,回内外90°/45°であった.知覚障害はSemmes Weinstein monofilament testにて正中神経と尺骨神経背側枝の領域に知覚低下を認めた.手術は,橈骨矯正骨切りにて背...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 3; pp. 548 - 552
Main Authors 松田, 匡弘, 井浦, 国生, 牛尾, 哲郎, 矢野, 良平, 富永, 冬樹, 石原, 康平, 村上, 剛史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.548

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Summary:【背景】今回,橈骨遠位端骨折の保存治療後に回旋変形癒合による可動域制限と末梢神経障害を合併した症例を経験したので報告する.【症例】36歳女性.内モンゴルにて受傷し,近医にてNelaton副子による保存治療を行なわれた.受傷後4か月時の帰国を機に手関節可動域制限と手の知覚障害にて初診された.X線ではRI20°,VT-8°,UV0mmで,CTでは橈骨の回内方向への回旋変形を認めた.可動域は掌背屈85°/90°,回内外90°/45°であった.知覚障害はSemmes Weinstein monofilament testにて正中神経と尺骨神経背側枝の領域に知覚低下を認めた.手術は,橈骨矯正骨切りにて背屈転位を矯正すると共にプレートを圧着させることで回旋を矯正した.知覚障害に対しては手根管開放と尺骨神経剥離を行なった.術後7か月時の可動域は掌背屈,回内外ともにすべて90°で,知覚も改善した.【考察とまとめ】橈骨遠位端変形癒合後の回旋変形を矯正することで良好な成績を得た.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.548