酵母Candida lipolyticaの脂肪酸不飽和化の温度依存性について

培養温度変化に対し常温菌の酵母Candida lipolyticaは応答し不飽和脂肪酸の組成を変えるが, この過程を細胞増殖およびC16, C18脂肪酸含量の経時変化を求めることで検討した.脂肪酸の主成分はリノール酸 (18 : 2), オレイン酸 (18 : 1), パルミチン酸 (16 : 0) およびパルミトレイン酸 (16 : 1) であった.一般に, 低温側で細胞は膜の流動性を確保するために不飽和脂肪酸の合成を促進すると言われているが, この系では, この傾向は対数増殖後期, 停止期の細胞に顕著に現われた.20, 25℃の対数増殖期では, リノール酸, パルミトレイン酸含量は一定であ...

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Published in化学工学論文集 Vol. 17; no. 3; pp. 455 - 461
Main Authors 高山, 仙夫, 中村, 英昭, 太田口, 和久, 小出, 耕造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 化学工学会 1991
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Summary:培養温度変化に対し常温菌の酵母Candida lipolyticaは応答し不飽和脂肪酸の組成を変えるが, この過程を細胞増殖およびC16, C18脂肪酸含量の経時変化を求めることで検討した.脂肪酸の主成分はリノール酸 (18 : 2), オレイン酸 (18 : 1), パルミチン酸 (16 : 0) およびパルミトレイン酸 (16 : 1) であった.一般に, 低温側で細胞は膜の流動性を確保するために不飽和脂肪酸の合成を促進すると言われているが, この系では, この傾向は対数増殖後期, 停止期の細胞に顕著に現われた.20, 25℃の対数増殖期では, リノール酸, パルミトレイン酸含量は一定であった.特に対数増殖細胞の場合, 30℃への温度上昇に応じて不飽和脂肪酸含量を高めることがわかった.この一見矛盾する観察結果を説明するために, リノール酸合成に関し温度依存性の異なる2つの生合成経路を想定し, 不飽和化反応の活性変化を考察するための概念図を提出した.
ISSN:0386-216X
1349-9203
DOI:10.1252/kakoronbunshu.17.455