ナノの決死圏

「I はじめに」私が小学生だった1960年代に, 「ミクロの決死圏」というアメリカ映画が封切られました. 全ての物質をミクロ化する最新技術? で潜水艇と乗組員をミクロ化し, 脳出血患者に静注して血流に乗せ, 脳の患部に行って血腫をレーザー銃で破壊するというものです. 乗組員に裏切り者がいたり, 潜水艇が動けなくなったり, 最後はタイムリミットぎりぎりで涙から救出したりとスリル満点, しかも免疫系や心臓の激流などと戦いながら体内を旅するというストーリーが新鮮で, 子供心に興奮したのを覚えています. 50年近く経った今観てみると, 抗体がワカメみたいだったり, 神経がピカピカ光ったりしてかなり笑え...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 63; no. 4; pp. 233 - 236
Main Author 齋藤, 直人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.08.2015
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Summary:「I はじめに」私が小学生だった1960年代に, 「ミクロの決死圏」というアメリカ映画が封切られました. 全ての物質をミクロ化する最新技術? で潜水艇と乗組員をミクロ化し, 脳出血患者に静注して血流に乗せ, 脳の患部に行って血腫をレーザー銃で破壊するというものです. 乗組員に裏切り者がいたり, 潜水艇が動けなくなったり, 最後はタイムリミットぎりぎりで涙から救出したりとスリル満点, しかも免疫系や心臓の激流などと戦いながら体内を旅するというストーリーが新鮮で, 子供心に興奮したのを覚えています. 50年近く経った今観てみると, 抗体がワカメみたいだったり, 神経がピカピカ光ったりしてかなり笑えるのですが, その発想はDDS・イメージング・カプセル内視鏡など, 現在の医療開発の方向性を先取りしています. 当時は小さいものは何でもミクロと言っていました. 現在は, 電子顕微鏡や様々な解析装置の進歩により, ナノの時代になっています.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.63.233