馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤の1治験例

馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤は比較的稀な疾患である.同様の症例に対して外科的加療を施行したので報告する.症例は70歳,男性.他疾患の精査目的に施行したCTにて馬蹄腎ならびに腹部大動脈瘤(65 mm)の診断となった.3D-CTA,血管造影検査にて左右の主幹腎動脈と馬蹄腎峡部から分岐する1本の異所性腎動脈を認めた.手術は腹部正中切開にて経腹膜的にアプローチした.腹部大動脈瘤に騎乗する馬蹄腎峡部をテーピングし,上下に牽引することにより,同部位を温存した.腹部大動脈から右総腸骨動脈,左外腸骨動脈の間をY型人工血管により置換した.異所性腎動脈は,ボタン状に切離した後に人工血管へ吻合し再建した.術後は腎機...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 39; no. 3; pp. 148 - 150
Main Authors 外田, 洋孝, 折田, 博之, 広岡, 茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2010
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.39.148

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Summary:馬蹄腎を合併した腹部大動脈瘤は比較的稀な疾患である.同様の症例に対して外科的加療を施行したので報告する.症例は70歳,男性.他疾患の精査目的に施行したCTにて馬蹄腎ならびに腹部大動脈瘤(65 mm)の診断となった.3D-CTA,血管造影検査にて左右の主幹腎動脈と馬蹄腎峡部から分岐する1本の異所性腎動脈を認めた.手術は腹部正中切開にて経腹膜的にアプローチした.腹部大動脈瘤に騎乗する馬蹄腎峡部をテーピングし,上下に牽引することにより,同部位を温存した.腹部大動脈から右総腸骨動脈,左外腸骨動脈の間をY型人工血管により置換した.異所性腎動脈は,ボタン状に切離した後に人工血管へ吻合し再建した.術後は腎機能の悪化を認めず,第12病日に軽快退院した.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.39.148