炭酸ガス送気併用胸腔鏡と頚部切開によりアプローチした巨大頚部縦隔脂肪肉腫の1切除例

症例は60歳代,男性.1ヵ月程前から出現した頚部の腫脹と嗄声の精査目的にCTを撮影され,咽頭後壁から後縦隔へ連続する巨大な腫瘤を認めたため,当科を紹介受診した.MRIで隔壁を伴う脂肪信号を呈し,PET-CTではFDG集積はほとんど認めなかった.頚部縦隔脂肪腫もしくは脂肪肉腫と診断し,手術加療の方針とした.手術はまず左側臥位とし,右胸腔より胸腔鏡下に炭酸ガス送気を併用してアプローチした.腫瘍反応層の外で切除する広範切除縁となるよう,主に鈍的操作により可及的頭側まで剥離を行った.続いて仰臥位とし,頚部襟状切開を置いて頚部操作を行い,腫瘍を一塊に摘出した.病理診断は高分化脂肪肉腫であった.炭酸ガス送...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 5; pp. 549 - 554
Main Authors 松本, 大資, 広瀬, 敏幸, 山本, 清成, 藤木, 和也, 藤本, 啓介, 中川, 靖士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2019
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Summary:症例は60歳代,男性.1ヵ月程前から出現した頚部の腫脹と嗄声の精査目的にCTを撮影され,咽頭後壁から後縦隔へ連続する巨大な腫瘤を認めたため,当科を紹介受診した.MRIで隔壁を伴う脂肪信号を呈し,PET-CTではFDG集積はほとんど認めなかった.頚部縦隔脂肪腫もしくは脂肪肉腫と診断し,手術加療の方針とした.手術はまず左側臥位とし,右胸腔より胸腔鏡下に炭酸ガス送気を併用してアプローチした.腫瘍反応層の外で切除する広範切除縁となるよう,主に鈍的操作により可及的頭側まで剥離を行った.続いて仰臥位とし,頚部襟状切開を置いて頚部操作を行い,腫瘍を一塊に摘出した.病理診断は高分化脂肪肉腫であった.炭酸ガス送気を併用することにより良好な術野を確保し,周囲臓器との剥離も安全に行え,腫瘍を一塊に切除しえた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.549