S状結腸癌に合併した肝内胆管腺腫の1例

症例は74歳,男性.平成19年1月血便,下腹部痛を主訴として当院に受診した.精査の結果,S状結腸癌と胆嚢結石症と診断され手術を施行した.術中,肝S8表面に径7mmの固い白色結節を認め,同時性肝転移を疑い,肝部分切除術を施行した.術後の病理組織学的検査では肝内の結節は周囲の肝組織とは境界明瞭で,被膜を形成せず,小型の腺管あるいは索状胞巣の構造を呈した胆管上皮細胞の増生と,その周囲の膠原線維の増生を伴い,肝内胆管腺腫と診断された.肝内胆管腺腫は胆管細胞由来の稀な良性上皮性腫瘍であり,本邦での報告例は自験例を含め検索しえた限りでは28例と稀な疾患であった....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 6; pp. 1499 - 1503
Main Authors 久保, 章, 杉浦, 浩朗, 長嶺, 弘太郎, 亀田, 久仁郎, 竹川, 義則, 中川, 和也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1499

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Summary:症例は74歳,男性.平成19年1月血便,下腹部痛を主訴として当院に受診した.精査の結果,S状結腸癌と胆嚢結石症と診断され手術を施行した.術中,肝S8表面に径7mmの固い白色結節を認め,同時性肝転移を疑い,肝部分切除術を施行した.術後の病理組織学的検査では肝内の結節は周囲の肝組織とは境界明瞭で,被膜を形成せず,小型の腺管あるいは索状胞巣の構造を呈した胆管上皮細胞の増生と,その周囲の膠原線維の増生を伴い,肝内胆管腺腫と診断された.肝内胆管腺腫は胆管細胞由来の稀な良性上皮性腫瘍であり,本邦での報告例は自験例を含め検索しえた限りでは28例と稀な疾患であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1499