無汗性外胚葉形成不全症に伴う感染性肺囊胞の1切除例

無汗性外胚葉形成不全症はNEMO(Nuclear factor-κB essential modulator)遺伝子異常やそれに伴う免疫不全を合併する遺伝性疾患である.本症に合併した感染性肺囊胞に対し手術を施行した症例を報告する.症例は23歳男性.1歳時に無汗性外胚葉形成不全症,先天性右肺囊胞と診断.生後から肺炎,感染性肺囊胞を繰り返し,徐々に抗生剤抵抗性となった.23歳時に大腸型クローン病と診断され,ステロイド剤や生物学的製剤による治療開始にあたり,感染性肺囊胞の制御目的に外科切除の方針とした.右肺下葉の囊胞はS6-10に及び,右肺下葉切除術を施行した.術中の体温管理は,無汗により高体温とな...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 4; pp. 275 - 280
Main Authors 丸山, 来輝, 塩見, 和, 松島, 圭吾, 三窪, 将史, 松井, 啓夫, 佐藤, 之俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.275

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Summary:無汗性外胚葉形成不全症はNEMO(Nuclear factor-κB essential modulator)遺伝子異常やそれに伴う免疫不全を合併する遺伝性疾患である.本症に合併した感染性肺囊胞に対し手術を施行した症例を報告する.症例は23歳男性.1歳時に無汗性外胚葉形成不全症,先天性右肺囊胞と診断.生後から肺炎,感染性肺囊胞を繰り返し,徐々に抗生剤抵抗性となった.23歳時に大腸型クローン病と診断され,ステロイド剤や生物学的製剤による治療開始にあたり,感染性肺囊胞の制御目的に外科切除の方針とした.右肺下葉の囊胞はS6-10に及び,右肺下葉切除術を施行した.術中の体温管理は,無汗により高体温となりやすいため加温器は使用しなかった.抗生剤は術中のみCLDMを600 mg使用した.術後1ヵ月程度でクローン病に対しステロイド剤開始予定であったため気管支断端の肋間筋弁被覆を行った.術後はネブライザーによる去痰に努めた.術後合併症なく経過し外科切除が有効であった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.275