大網の鼠径ヘルニア嵌頓による続発性大網捻転症の2例

大網捻転症は比較的稀で急性腹症の1つとして念頭に置くべき疾患である. 今回鼠径ヘルニア嵌頓による続発性大網捻転症の2例を経験したので報告する. 症例1は40歳, 男性. 主訴は右下腹部痛と発熱. CT検査で右下腹部に渦巻き層状構造を呈する腫瘤と右鼠径ヘルニアの脱出を認め, 右鼠径ヘルニア嵌頓による続発性大網捻転症と診断し手術を施行. 大網は反時計方向に1.5回転し多量の暗血性腹水を認めた. 捻転部中枢側で大網を切除, 鼠径ヘルニアはBassini法で修復. 症例2は55歳, 男性. 主訴は左下腹部痛と左鼠径部腫瘤. CT検査で左下腹部に渦巻き層状構造を呈する腫瘤と左鼠径ヘルニアの脱出を認め,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 9; pp. 2362 - 2366
Main Authors 朝蔭, 直樹, 鈴木, 貴久, 山本, 哲朗, 佐々木, 森雄, 塚田, 健次, 小林, 滋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.2362

Cover

Loading…
More Information
Summary:大網捻転症は比較的稀で急性腹症の1つとして念頭に置くべき疾患である. 今回鼠径ヘルニア嵌頓による続発性大網捻転症の2例を経験したので報告する. 症例1は40歳, 男性. 主訴は右下腹部痛と発熱. CT検査で右下腹部に渦巻き層状構造を呈する腫瘤と右鼠径ヘルニアの脱出を認め, 右鼠径ヘルニア嵌頓による続発性大網捻転症と診断し手術を施行. 大網は反時計方向に1.5回転し多量の暗血性腹水を認めた. 捻転部中枢側で大網を切除, 鼠径ヘルニアはBassini法で修復. 症例2は55歳, 男性. 主訴は左下腹部痛と左鼠径部腫瘤. CT検査で左下腹部に渦巻き層状構造を呈する腫瘤と左鼠径ヘルニアの脱出を認め, 左鼠径ヘルニア嵌頓による続発性大網捻転症と診断. 大網は反時計方向に3回転しており, 症例1同様の手術を施行. 大網捻転症の診断にはCT検査が有用で, 本疾患を念頭に置きCT検査を施行することにより診断能の向上を図ることが可能と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.2362