G-CSF産生直腸未分化癌の1例

本論文では原発巣切除術後に急速な再発転移をきたして死亡したG-CSF産生直腸未分化癌の1例について報告する.症例は63歳,男性.直腸に1型腫瘤があり,生検では未分化癌が示唆されたが,遠隔転移はなく(Stage IIIb),腹会陰式直腸切断術を実施した.しかし術後早期に骨盤腔内再発や,多発肝・肺転移,発熱と高G-CSF血症を伴う白血球増多が出現,急激に全身状態が悪化して術後第26病日に死亡した.切除標本の組織所見は未分化癌で,免疫染色ではp53とKi-67が強陽性だが,特定の由来臓器を示す所見はなかった.また,G-CSF陽性でありG-CSF産生腫瘍であることが示された.本邦における直腸原発G-C...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 7; pp. 1737 - 1741
Main Authors 高橋, 毅, 柳原, 正智, 信太, 昭子, 芦澤, 敏, 鈴木, 敬二, 飯塚, 美香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.1737

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Summary:本論文では原発巣切除術後に急速な再発転移をきたして死亡したG-CSF産生直腸未分化癌の1例について報告する.症例は63歳,男性.直腸に1型腫瘤があり,生検では未分化癌が示唆されたが,遠隔転移はなく(Stage IIIb),腹会陰式直腸切断術を実施した.しかし術後早期に骨盤腔内再発や,多発肝・肺転移,発熱と高G-CSF血症を伴う白血球増多が出現,急激に全身状態が悪化して術後第26病日に死亡した.切除標本の組織所見は未分化癌で,免疫染色ではp53とKi-67が強陽性だが,特定の由来臓器を示す所見はなかった.また,G-CSF陽性でありG-CSF産生腫瘍であることが示された.本邦における直腸原発G-CSF産生未分化癌の報告はなく,腫瘍によるG-CSF産生の臨床的意義についても未解決であり,今後の症例の蓄積と検討が待たれるところである.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.1737