電気的インピーダンス値を利用した抜針検知と内シャント血流量計測システムの開発 実用化に向けた実験的検討

近年,高血流量の血液透析が一般的になりつつあるが,再循環による透析量(Kt/V)の低下と,抜針事故時の大量失血のリスクが懸念されている。本研究では,電気的インピーダンス値を利用した抜針検知システムと,内シャント血流量計測システムの開発を目的とし,透析用血液回路へ通電を行う電極付アダプタ,発振器,検出器を作製した。次に,模擬内シャントを作製し,一般的な血液透析を再現した状態で抜針検知システムの動作実験と,内シャント血流量計測システムの誤差を測定した。その結果,抜針検知システムは留置針の内径や血流量に依存することなく,抜針時に警報を発生させることが可能であった。また,内シャント血流量計測システムで...

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Published in杏林医学会雑誌 Vol. 50; no. 4; pp. 157 - 167
Main Authors 須田, 健二, 柏木, ともか, 菊田, 雅宏, 副島, 昭典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 27.12.2019
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Summary:近年,高血流量の血液透析が一般的になりつつあるが,再循環による透析量(Kt/V)の低下と,抜針事故時の大量失血のリスクが懸念されている。本研究では,電気的インピーダンス値を利用した抜針検知システムと,内シャント血流量計測システムの開発を目的とし,透析用血液回路へ通電を行う電極付アダプタ,発振器,検出器を作製した。次に,模擬内シャントを作製し,一般的な血液透析を再現した状態で抜針検知システムの動作実験と,内シャント血流量計測システムの誤差を測定した。その結果,抜針検知システムは留置針の内径や血流量に依存することなく,抜針時に警報を発生させることが可能であった。また,内シャント血流量計測システムでは,設定値と測定値との流量誤差が模擬血液(牛血)で±20%以内であった。基礎的な検討の結果,本システムは臨床に近い環境でも正常に作動し,有効に機能することを明らかにした。
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.50.157