Refeeding syndromeを合併した高齢者続発性自然気胸の一例

Refeeding syndrome(以下RFS)は慢性栄養失調の患者に対して,急激な栄養投与を行うことにより体液量と電解質に異常を引き起こす病態と定義され,致死的な合併症に発展する.不整脈を契機にRFSの診断に至った続発性自然気胸の一例を報告する.症例は75歳,男性.発熱,呼吸困難を主訴に前医を受診し続発性自然気胸と診断された.胸膜癒着療法を施行するも改善せず,当科紹介となり胸腔鏡下肺囊胞結紮術を施行した.術後第2病日に心室頻拍が発生し,検査を施行したところ低リン血症を認めた.低栄養であったことからRFSと診断し,直ちにリンを補正しながら摂取エネルギー量を少量から漸増し,全身状態は改善した....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 6; pp. 703 - 708
Main Authors 坂本, 晋一, 先山, 正二, 日野, 弘之, 松本, 大昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.703

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Summary:Refeeding syndrome(以下RFS)は慢性栄養失調の患者に対して,急激な栄養投与を行うことにより体液量と電解質に異常を引き起こす病態と定義され,致死的な合併症に発展する.不整脈を契機にRFSの診断に至った続発性自然気胸の一例を報告する.症例は75歳,男性.発熱,呼吸困難を主訴に前医を受診し続発性自然気胸と診断された.胸膜癒着療法を施行するも改善せず,当科紹介となり胸腔鏡下肺囊胞結紮術を施行した.術後第2病日に心室頻拍が発生し,検査を施行したところ低リン血症を認めた.低栄養であったことからRFSと診断し,直ちにリンを補正しながら摂取エネルギー量を少量から漸増し,全身状態は改善した.RFSは稀な疾患ではないが認知度は必ずしも高くない.高齢化が進む近年ではRFSのリスクを満たす状態で治療を開始する症例も少なくなく本疾患を念頭に置いて術後治療を行う必要がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.703