小児仙骨前部類表皮嚢胞の1例

症例は6歳,女児.右臀部痛のため受診した.右臀部に硬結を認め,約1カ月後膿瘍が形成された.膿瘍は切開排膿術で軽快したが,幼少時より数回膿瘍が再発しているため原因検索を行った.MRI,CT検査にて,直腸と尾骨との間に最大径2cmの嚢胞性腫瘤が認められた.仙骨前部の嚢胞性腫瘍と診断し腫瘍摘出術を行った.手術はposterior sagittal approach法(以下PSA法)を用い,尾骨下端より肛門縁に至るまで臀部正中線上に皮膚切開を加え,外肛門括約筋および肛門挙筋をそれぞれ正中にて縦方向に切開し腫瘤に到達,腫瘤を摘出した.病理学的検査所見では,嚢胞壁は角化した扁平上皮に覆われ皮膚付属器は認め...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 7; pp. 1894 - 1898
Main Authors 篠原, 剛, 高須, 香吏, 五十嵐, 淳, 山田, 博之, 藤森, 芳郎, 山岸, 喜代文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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Summary:症例は6歳,女児.右臀部痛のため受診した.右臀部に硬結を認め,約1カ月後膿瘍が形成された.膿瘍は切開排膿術で軽快したが,幼少時より数回膿瘍が再発しているため原因検索を行った.MRI,CT検査にて,直腸と尾骨との間に最大径2cmの嚢胞性腫瘤が認められた.仙骨前部の嚢胞性腫瘍と診断し腫瘍摘出術を行った.手術はposterior sagittal approach法(以下PSA法)を用い,尾骨下端より肛門縁に至るまで臀部正中線上に皮膚切開を加え,外肛門括約筋および肛門挙筋をそれぞれ正中にて縦方向に切開し腫瘤に到達,腫瘤を摘出した.病理学的検査所見では,嚢胞壁は角化した扁平上皮に覆われ皮膚付属器は認めず類表皮嚢胞と診断した.術後経過は良好で,術後9カ月の現在腫瘍の再発はなく,また排便機能障害も認められていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.1894