長期経過により荒蕪肺へ移行した肺放線菌症の1切除例

症例は68歳男性.2009年4月,近医にて右肺S6の腫瘤影を指摘され,繰り返し気管支鏡検査を施行されるも,診断に至らず経過観察されていた.2014年6月,血痰が出現し前医の喀痰培養検査にてMycobacterium aviumが検出された.同年8月,喀血,発熱が出現し治療目的にて当院へ転院した.胸部CTにて右肺下葉に空洞を伴う感染性荒蕪肺を認め,選択的気管支動脈塞栓術および抗生剤加療にて軽快退院した.2015年2月,荒蕪肺に対し右中下葉切除術を施行した.病理組織学的検査にて肺放線菌症と診断した.術後,アモキシシリンを6ヵ月投与し,術後9ヵ月の現在,経過は良好である.肺放線菌症は比較的稀な疾患で...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 5; pp. 639 - 644
Main Authors 恒松, 雅, 仲田, 健男, 矢部, 三男, 市川, 晶博, 高木, 正道, 秋葉, 直志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2016
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Summary:症例は68歳男性.2009年4月,近医にて右肺S6の腫瘤影を指摘され,繰り返し気管支鏡検査を施行されるも,診断に至らず経過観察されていた.2014年6月,血痰が出現し前医の喀痰培養検査にてMycobacterium aviumが検出された.同年8月,喀血,発熱が出現し治療目的にて当院へ転院した.胸部CTにて右肺下葉に空洞を伴う感染性荒蕪肺を認め,選択的気管支動脈塞栓術および抗生剤加療にて軽快退院した.2015年2月,荒蕪肺に対し右中下葉切除術を施行した.病理組織学的検査にて肺放線菌症と診断した.術後,アモキシシリンを6ヵ月投与し,術後9ヵ月の現在,経過は良好である.肺放線菌症は比較的稀な疾患であり,今回,長期経過により荒蕪肺へ移行した右肺放線菌症の手術例を経験したため報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.30.639