外傷性頚髄損傷を有する重症筋無力症合併巨大胸腺腫をclamshell開胸で切除した1例

症例は56歳男性,C4以下の外傷性頚髄損傷の既往歴がある.嚥下困難,喀痰排出困難のため近医を受診,前縦隔腫瘍を認め当院に紹介された.超音波ガイド下生検の結果,胸腺腫と診断され抗アセチルコリンレセプター抗体22 nmol/Lと高値で日内変動のある嚥下困難感があることから重症筋無力症(MG)と診断された.術前CTにて腫瘍は105×95×74 mmと巨大であり第4肋間開胸によるclamshell切開にて拡大胸腺胸腺腫摘除術を施行した.術後人工呼吸器管理下とし第9病日に挿管チューブを抜管,第33病日に左胸腔ドレーンを,第50病日に右胸腔ドレーンを抜管した.術後起立性低血圧,放熱障害を認めたが,疼痛およ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 154 - 160
Main Authors 半田, 政志, 渋谷, 丈太郎, 石田, 和之, 小野寺, 克洋, 宇田川, 輝久, 鈴木, 寛利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.154

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Summary:症例は56歳男性,C4以下の外傷性頚髄損傷の既往歴がある.嚥下困難,喀痰排出困難のため近医を受診,前縦隔腫瘍を認め当院に紹介された.超音波ガイド下生検の結果,胸腺腫と診断され抗アセチルコリンレセプター抗体22 nmol/Lと高値で日内変動のある嚥下困難感があることから重症筋無力症(MG)と診断された.術前CTにて腫瘍は105×95×74 mmと巨大であり第4肋間開胸によるclamshell切開にて拡大胸腺胸腺腫摘除術を施行した.術後人工呼吸器管理下とし第9病日に挿管チューブを抜管,第33病日に左胸腔ドレーンを,第50病日に右胸腔ドレーンを抜管した.術後起立性低血圧,放熱障害を認めたが,疼痛およびMG症状の増悪は無く嚥下困難は漸時軽快し術後第70病日に退院した.病理結果はWHO分類TypeB3の胸腺腫と診断され正岡I期であった.術後半年再発なく経過している.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.154