腹壁デスモイド腫瘍の1例

症例は45歳,女性.既往歴は高血圧と子宮筋腫とがあり,子宮筋腫に対しては平成16年に,経膣的子宮摘出術を施行されている. 平成20年6月,下腹部の突っ張り感を主訴に近医婦人科を受診され,左下腹部に腫瘤を指摘され,当院へ紹介となった.腹部CTにて,左下腹部の腹壁および,腸管との境界が不明瞭な,長径6.5cm大,充実性で,内部はほぼ均一な軟部組織濃度を示す,表面平滑な腫瘤が認められた.腫瘤全体に造影効果が認められ,嚢胞状や壊死状の部分は認めなかった.注腸検査では,明らかな消化管への浸潤を疑わせる所見は認められなかった.そのため,腹膜あるいは後腹膜原発の腫瘍が疑われ,内科にてCTガイド下生検が行われ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 1209 - 1212
Main Authors 西川, 隆太郎, 石野, 義人, 福浦, 竜樹, 杉平, 宣仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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Summary:症例は45歳,女性.既往歴は高血圧と子宮筋腫とがあり,子宮筋腫に対しては平成16年に,経膣的子宮摘出術を施行されている. 平成20年6月,下腹部の突っ張り感を主訴に近医婦人科を受診され,左下腹部に腫瘤を指摘され,当院へ紹介となった.腹部CTにて,左下腹部の腹壁および,腸管との境界が不明瞭な,長径6.5cm大,充実性で,内部はほぼ均一な軟部組織濃度を示す,表面平滑な腫瘤が認められた.腫瘤全体に造影効果が認められ,嚢胞状や壊死状の部分は認めなかった.注腸検査では,明らかな消化管への浸潤を疑わせる所見は認められなかった.そのため,腹膜あるいは後腹膜原発の腫瘍が疑われ,内科にてCTガイド下生検が行われたところ,デスモイド腫瘍の診断であったため,外科にて切除術を行った.デスモイド腫瘍は比較的稀な疾患であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1209