項背部肩甲部脂肪腫摘出術後に気道閉塞をきたした良性対称性脂肪腫症の1例

症例は56歳の男性. 増大した良性対称性脂肪腫に対し, 二期的に摘出術が予定された. 術前のMRIでは, 中下咽頭の後壁に脂肪腫が存在し狭窄を認めていた. 二期手術の術後, 上気道閉塞を伴う努力呼吸となり, 経皮的動脈血酸素飽和度の低下を認めたため, 希釈エピネフリンの吸入とデキサメタゾンの静脈内投与を行ったが症状は改善しなかった. その後, 粘稠痰の喀出を契機に呼吸状態は改善した. 今回の気道閉塞は, 脂肪腫による咽頭の狭窄に加え, 挿管による気道の浮腫, さらに長期喫煙によると思われる喀痰の貯留が原因であると思われた. 本疾患患者に対する麻酔では, 術前に気道周辺組織への浸潤の程度を評価す...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 26; no. 2; pp. 207 - 210
Main Authors 石井, 典子, 八井田, 豊, 倉迫, 敏明, 松本, 睦子, 岩崎, 衣津, 仁熊, 敬枝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2006
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.26.207

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Summary:症例は56歳の男性. 増大した良性対称性脂肪腫に対し, 二期的に摘出術が予定された. 術前のMRIでは, 中下咽頭の後壁に脂肪腫が存在し狭窄を認めていた. 二期手術の術後, 上気道閉塞を伴う努力呼吸となり, 経皮的動脈血酸素飽和度の低下を認めたため, 希釈エピネフリンの吸入とデキサメタゾンの静脈内投与を行ったが症状は改善しなかった. その後, 粘稠痰の喀出を契機に呼吸状態は改善した. 今回の気道閉塞は, 脂肪腫による咽頭の狭窄に加え, 挿管による気道の浮腫, さらに長期喫煙によると思われる喀痰の貯留が原因であると思われた. 本疾患患者に対する麻酔では, 術前に気道周辺組織への浸潤の程度を評価することが重要であると思われた.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.26.207