FDG-PET陰性であった肺内malignant solitary fibrous tumorの1例

症例は46歳男性.検診で胸部レントゲン異常を指摘され当院受診となった.胸部CTで右肺上葉に23 mm大の境界明瞭な結節を認めた.結節に対して気管支鏡を施行したが確定診断に至らず,FDG-PETでも有意な集積は認めなかったため経過観察されていた.その後,結節は約2年6ヵ月で35 mm大と徐々に増大傾向を示したため,胸腔鏡下右肺上葉切除術+リンパ節郭清(ND2a-1)を施行した.組織学的所見上,腫瘍は不規則な紡錘形ないし不整形細胞の充実性増殖を呈していた.免疫染色ではSTAT6等で陽性を示し,肺内solitary fibrous tumorと診断された.さらに,腫瘍は細胞密度が高く,多数の核分裂(...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 198 - 202
Main Authors 田内, 俊輔, 戸部, 智, 杉山, 博信, 佐野, 暢哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2016
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.30.198

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Summary:症例は46歳男性.検診で胸部レントゲン異常を指摘され当院受診となった.胸部CTで右肺上葉に23 mm大の境界明瞭な結節を認めた.結節に対して気管支鏡を施行したが確定診断に至らず,FDG-PETでも有意な集積は認めなかったため経過観察されていた.その後,結節は約2年6ヵ月で35 mm大と徐々に増大傾向を示したため,胸腔鏡下右肺上葉切除術+リンパ節郭清(ND2a-1)を施行した.組織学的所見上,腫瘍は不規則な紡錘形ないし不整形細胞の充実性増殖を呈していた.免疫染色ではSTAT6等で陽性を示し,肺内solitary fibrous tumorと診断された.さらに,腫瘍は細胞密度が高く,多数の核分裂(>4 mitoses/2 mm2)を認めたため,病理学的に悪性と判定された.FDG-PETで有意な集積を認めなくても,増大傾向を示す腫瘍には,偽陰性例の存在を念頭におき手術を考慮すべきである.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.30.198