長期生存中の妊娠併存後腹膜粘液型脂肪肉腫の1例

症例は30歳,女性.2006年3月左下肢痛が出現し5月から腹部腫瘤を自覚した.8月に妊娠を契機に前医を受診,腹部腫瘤を精査され,左腸腰筋前面の後腹膜に径30cmの多房性腫瘤を認め,精査加療目的に妊娠12週で当科紹介となった.MRIではT1low・T2highで,腸腰筋・膀胱・子宮を圧排する境界明瞭な多房性後腹膜腫瘤を認め,脂肪肉腫が強く疑われたため妊娠13週に腹膜外アプローチで腫瘍摘出術を施行した.病理診断は粘液型脂肪肉腫であった.妊娠経過は順調で37週に帝王切開で出産した.術後1年半に局所再発をきたし放射線照射が奏効したが,術後4年で増大し再切除を行った.現在再発なく経過観察中である.妊娠併...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 8; pp. 2129 - 2133
Main Authors 安田, 是和, 永井, 秀雄, 黒河内, 顕, 山口, 岳彦, 仁木, 利郎, 俵藤, 正信, 佐田, 尚宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.2129

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Summary:症例は30歳,女性.2006年3月左下肢痛が出現し5月から腹部腫瘤を自覚した.8月に妊娠を契機に前医を受診,腹部腫瘤を精査され,左腸腰筋前面の後腹膜に径30cmの多房性腫瘤を認め,精査加療目的に妊娠12週で当科紹介となった.MRIではT1low・T2highで,腸腰筋・膀胱・子宮を圧排する境界明瞭な多房性後腹膜腫瘤を認め,脂肪肉腫が強く疑われたため妊娠13週に腹膜外アプローチで腫瘍摘出術を施行した.病理診断は粘液型脂肪肉腫であった.妊娠経過は順調で37週に帝王切開で出産した.術後1年半に局所再発をきたし放射線照射が奏効したが,術後4年で増大し再切除を行った.現在再発なく経過観察中である.妊娠併存の後腹膜脂肪肉腫は極めて稀で特殊な病態であり,腫瘍切除の時期,妊娠継続の可否,さらに治療にあたる診療科間の連携が重要と思われる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2129