直腸原発T細胞性悪性リンパ腫の1例

症例は67歳,男性.1999年8月検診で便潜血反応陽性を指摘される.大腸内視鏡検査で直腸Raに糜爛を伴う表面粗像な粘膜を認め,生検で単調リンパ浸潤の診断であった.その後,定期的に生検を施行するも結果は同じであった.2003年2月下痢,下血が出現し,内視鏡検査で同部位に増大した境界明瞭な易出血性の隆起性病変を認めた.生検の結果は悪性リンパ腫の診断であった.2003年3月低位前方切除術およびD2リンパ節郭清を施行した.切除標本で直腸Raに12×11cm大の平板状隆起性病変を認めた.病理組織学的検査結果は,T細胞性悪性リンパ腫であり,StageIIIb(A,N2,P0,H0,M0)であった.一般に大...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 1128 - 1133
Main Authors 西村, 健志, 鈴木, 信親, 三浦, 泰朗, 片山, 原子, 平田, 勝, 田中, 潔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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Summary:症例は67歳,男性.1999年8月検診で便潜血反応陽性を指摘される.大腸内視鏡検査で直腸Raに糜爛を伴う表面粗像な粘膜を認め,生検で単調リンパ浸潤の診断であった.その後,定期的に生検を施行するも結果は同じであった.2003年2月下痢,下血が出現し,内視鏡検査で同部位に増大した境界明瞭な易出血性の隆起性病変を認めた.生検の結果は悪性リンパ腫の診断であった.2003年3月低位前方切除術およびD2リンパ節郭清を施行した.切除標本で直腸Raに12×11cm大の平板状隆起性病変を認めた.病理組織学的検査結果は,T細胞性悪性リンパ腫であり,StageIIIb(A,N2,P0,H0,M0)であった.一般に大腸原発T細胞性悪性リンパ腫の予後に関しては非常に不良であることが知られている.今回われわれは直腸原発T細胞性悪性リンパ腫に対して,手術および術後放射線化学療法により長期生存を得た1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1128