特異的な形態により縦隔腫瘍と術前診断された肺過誤腫の1例

症例は76歳,男性.他疾患精査中の胸部X線単純写真で異常陰影を指摘された.胸部CTおよびMRIにおいて,肺と縦隔に広く接する6 cm大の腫瘤影を認めた.extrapleural sign陽性であり,微細石灰化,脂肪成分の存在が示唆された.縦隔奇形腫を疑い手術を行ったところ,腫瘤は右下葉から発生し肺外に突出するように発育する腫瘍性病変であった.下肺静脈に近接していたため部分切除は困難と判断し,右下葉切除術を行った.術後の病理診断により肺過誤腫の診断を得た.肺過誤腫は肺良性腫瘍の中で最も頻度が高く,比較的なじみのある疾患である.今回,特異的な発育形態と局在から,術前に縦隔腫瘍と診断された症例を経験...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 4; pp. 501 - 504
Main Authors 谷口, 大輔, 蒲原, 涼太郎, 石井, 光寿, 中村, 昭博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.501

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Summary:症例は76歳,男性.他疾患精査中の胸部X線単純写真で異常陰影を指摘された.胸部CTおよびMRIにおいて,肺と縦隔に広く接する6 cm大の腫瘤影を認めた.extrapleural sign陽性であり,微細石灰化,脂肪成分の存在が示唆された.縦隔奇形腫を疑い手術を行ったところ,腫瘤は右下葉から発生し肺外に突出するように発育する腫瘍性病変であった.下肺静脈に近接していたため部分切除は困難と判断し,右下葉切除術を行った.術後の病理診断により肺過誤腫の診断を得た.肺過誤腫は肺良性腫瘍の中で最も頻度が高く,比較的なじみのある疾患である.今回,特異的な発育形態と局在から,術前に縦隔腫瘍と診断された症例を経験した.稀ではあるものの類似の報告例もみられ,教訓的であると思われたので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.501