切除可能であった肺癌胃転移の1例

肺癌の胃転移は稀で,切除可能となる事は極めて稀である.今回肺癌化学療法約2年後に胃転移に対して切除を施行した症例を経験したので報告する.症例は60歳男性,右胸水を指摘され紹介となった.胸水細胞診で肺由来の腺癌細胞を認め,全身精査の結果c-TxN2M1a,c-stage IVの肺癌と診断された.カルボプラチンとパクリタキセルによる化学療法を開始したが,3クール終了後に帯状疱疹を発症したため中止となった.その約2年後のPET-CTで胃への異常集積を指摘され,他部位に異常集積が無かったため胃全摘術,D2リンパ節郭清,膵尾部・脾臓合併切除を施行した.病理学的に胃の所属リンパ節への転移を伴う肺腺癌の胃転...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 204 - 209
Main Authors 峯, 一彦, 木佐貫, 篤, 帖佐, 英一, 米井, 彰洋, 市成, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.204

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Summary:肺癌の胃転移は稀で,切除可能となる事は極めて稀である.今回肺癌化学療法約2年後に胃転移に対して切除を施行した症例を経験したので報告する.症例は60歳男性,右胸水を指摘され紹介となった.胸水細胞診で肺由来の腺癌細胞を認め,全身精査の結果c-TxN2M1a,c-stage IVの肺癌と診断された.カルボプラチンとパクリタキセルによる化学療法を開始したが,3クール終了後に帯状疱疹を発症したため中止となった.その約2年後のPET-CTで胃への異常集積を指摘され,他部位に異常集積が無かったため胃全摘術,D2リンパ節郭清,膵尾部・脾臓合併切除を施行した.病理学的に胃の所属リンパ節への転移を伴う肺腺癌の胃転移であると診断された.肺癌胃転移においては患者さんの状態に応じて,手術も含めた集学的治療を選択すべきと考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.204