0.1%ピオクタニン水溶液洗浄が有効であったネフローゼ症候群合併有瘻性MRSA膿胸の1例

症例は39歳,男性.ステロイド治療中にネフローゼ症候群が悪化し,ステロイドミニパルス療法施行後に有瘻性膿胸を合併した.胸腔感染制御のため開窓術を施行したが,経過中に胸腔内よりMRSAを検出した.連日の包交で腔内の浄化に努め,有茎広背筋弁充填術による死腔閉鎖を施行したが,創部感染を併発したため洗浄を開始した.それでもなお,半閉鎖腔となった死腔のMRSA無菌化を得られず,殺菌作用を有する0.1%ピオクタニン溶液での創部洗浄に切り替えた.有瘻性ではあったが,肺炎を併発することなく,洗浄開始13日後にMRSA陰性化が得られ,創部縫合閉鎖を施行でき軽快退院となった.治療困難な有瘻性MRSA膿胸に対し,0...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 159 - 163
Main Authors 直海, 晃, 親松, 裕典, 成田, 久仁夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2016
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Summary:症例は39歳,男性.ステロイド治療中にネフローゼ症候群が悪化し,ステロイドミニパルス療法施行後に有瘻性膿胸を合併した.胸腔感染制御のため開窓術を施行したが,経過中に胸腔内よりMRSAを検出した.連日の包交で腔内の浄化に努め,有茎広背筋弁充填術による死腔閉鎖を施行したが,創部感染を併発したため洗浄を開始した.それでもなお,半閉鎖腔となった死腔のMRSA無菌化を得られず,殺菌作用を有する0.1%ピオクタニン溶液での創部洗浄に切り替えた.有瘻性ではあったが,肺炎を併発することなく,洗浄開始13日後にMRSA陰性化が得られ,創部縫合閉鎖を施行でき軽快退院となった.治療困難な有瘻性MRSA膿胸に対し,0.1%ピオクタニン溶液による洗浄が非常に有用と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.30.159