特徴的な2葉構造を呈した胸腺脂肪腫の1例

症例は21歳,男性.検診の胸部レントゲンで心拡大を指摘,縦隔腫瘍と診断され当科紹介となった.胸部CTおよびMRIで前縦隔に脂肪腫もしくは脂肪肉腫が疑われる巨大腫瘍を認め,切除する方針とした.手術は胸骨正中切開による拡大胸腺摘出術を施行した.画像および術中所見で,腫瘍は特徴的な2葉構造を示していた.摘出標本は24×18×5 cmの被膜に覆われた黄色,弾性軟の腫瘍で重量は670 gであった.病理組織学的に胸腺脂肪腫と診断された.胸腺脂肪腫は稀な良性縦隔腫瘍であるが,無症状で経過することが多いため,発見時すでに巨大化していることが多い.また本症例は特徴的な2葉構造を示しており,発生様式として胸腺組織...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 6; pp. 716 - 720
Main Authors 国光, 多望, 松原, 寛知, 木村, 尚子, 大貫, 雄一郎, 松岡, 弘泰, 宮内, 善広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2016
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.30.716

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Summary:症例は21歳,男性.検診の胸部レントゲンで心拡大を指摘,縦隔腫瘍と診断され当科紹介となった.胸部CTおよびMRIで前縦隔に脂肪腫もしくは脂肪肉腫が疑われる巨大腫瘍を認め,切除する方針とした.手術は胸骨正中切開による拡大胸腺摘出術を施行した.画像および術中所見で,腫瘍は特徴的な2葉構造を示していた.摘出標本は24×18×5 cmの被膜に覆われた黄色,弾性軟の腫瘍で重量は670 gであった.病理組織学的に胸腺脂肪腫と診断された.胸腺脂肪腫は稀な良性縦隔腫瘍であるが,無症状で経過することが多いため,発見時すでに巨大化していることが多い.また本症例は特徴的な2葉構造を示しており,発生様式として胸腺組織を巻き込んだ胸腺脂肪織の腫瘍性増殖と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.30.716