肝細胞癌肺転移症例に対する肺切除例の検討

肝細胞癌(HCC)患者では,ウイルス肝炎治療の進歩により肝関連死亡は減少し,遠隔転移例増加が見込まれ,その治療戦略が重要になる.当科で肺切除を施行したHCC肺転移10例について,炎症の指標であるリンパ球好中球数比(NLR)とGlasgow Prognostic Score(GPS)が予後因子になりうるかと,肺切除後の予後を検討した.10例中7例に再々発を認め,6例が死亡した.多変量解析ではそれぞれNLR>2.31が肺切除後の再発に対して(P=0.043),転移数≧2個が死亡に対して(P=0.04)独立した危険因子であった.再発7例中3例はさらなる外科切除を施行し,他の4例より有意に生存期間が延...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 4; pp. 439 - 445
Main Authors 市原, 智史, 中島, 博之, 宮内, 善広, 内田, 嚴, 大貫, 雄一郎, 鈴木, 章司, 佐藤, 大輔, 松岡, 弘泰, 椙村, 彩, 松原, 寛知
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.439

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Summary:肝細胞癌(HCC)患者では,ウイルス肝炎治療の進歩により肝関連死亡は減少し,遠隔転移例増加が見込まれ,その治療戦略が重要になる.当科で肺切除を施行したHCC肺転移10例について,炎症の指標であるリンパ球好中球数比(NLR)とGlasgow Prognostic Score(GPS)が予後因子になりうるかと,肺切除後の予後を検討した.10例中7例に再々発を認め,6例が死亡した.多変量解析ではそれぞれNLR>2.31が肺切除後の再発に対して(P=0.043),転移数≧2個が死亡に対して(P=0.04)独立した危険因子であった.再発7例中3例はさらなる外科切除を施行し,他の4例より有意に生存期間が延長した(中央値98.6 vs 12.2ヵ月;P=0.01).HCC肺転移例において,NLR>2.31の症例は再発に注意が必要だが,再発例であっても,再切除可能ならば積極的に再切除する意義があると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.439