腸間膜膿瘍を形成した回腸憩室穿通の1例

症例は57歳,男性.平成18年9月,右下腹部痛と発熱を認めるため近医受診.抗生物質の処方を受けるも症状が増悪するため1週間後当院内科を受診し急性虫垂炎を疑われ当科紹介となった.来院時右下腹部に自発痛,圧痛,反跳痛を認め鶏卵大の腫瘤を触知した.血液検査所見では炎症所見に上昇を認めた.CT検査では盲腸内側,回腸末端部頭背側にガスを伴う5×5cmの腫瘤像を認め,急性虫垂炎または大腸憩室炎の穿孔による膿瘍形成を疑い,緊急手術を施行した.手術所見では虫垂の炎症は軽度で,回腸末端部約8cmの腸管に著明な発赤と壁肥厚を認め,同部腸間膜に膿瘍を形成していたため回盲部切除術を施行した.切除標本では回盲弁から約4...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 7; pp. 2022 - 2026
Main Authors 田仲, 徹行, 青松, 幸雄, 小林, 経宏, 武内, 拓, 桑田, 博文, 中島, 祥介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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Summary:症例は57歳,男性.平成18年9月,右下腹部痛と発熱を認めるため近医受診.抗生物質の処方を受けるも症状が増悪するため1週間後当院内科を受診し急性虫垂炎を疑われ当科紹介となった.来院時右下腹部に自発痛,圧痛,反跳痛を認め鶏卵大の腫瘤を触知した.血液検査所見では炎症所見に上昇を認めた.CT検査では盲腸内側,回腸末端部頭背側にガスを伴う5×5cmの腫瘤像を認め,急性虫垂炎または大腸憩室炎の穿孔による膿瘍形成を疑い,緊急手術を施行した.手術所見では虫垂の炎症は軽度で,回腸末端部約8cmの腸管に著明な発赤と壁肥厚を認め,同部腸間膜に膿瘍を形成していたため回盲部切除術を施行した.切除標本では回盲弁から約4cmの回腸に腸間膜に穿通する憩室を認め,病理組織学的所見とあわせ回腸憩室穿通による腸間膜膿瘍と診断した.術後経過は良好で術後20日目に退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.2022