胆管嚢胞腺癌の1切除例

症例は51歳,女性.肝左葉の嚢胞性病変の精査目的に受診した.腹部CTで外側区域に嚢胞壁に造影効果を伴う多房性嚢胞性病変と内側区域側に連続する充実性部分を認めた.嚢胞性部分は胆管嚢胞腺癌で,周囲の充実性部分はその浸潤性変化と診断し,肝拡大左葉切除術を施行した.切除標本は外側区域を中心としたhoneycomb様を呈する多房性の嚢胞性部分とその周囲,特に内側区域側に拡がる充実性部分から成り,病理組織学的に広範な肝実質浸潤,胆管内進展,リンパ節転移および肝内転移を伴う胆管嚢胞腺癌と診断された.術後1年7カ月目に残肝再発をきたし再切除を施行.その後,多発肺転移,脳転移にて再々発したが,全身化学療法,ガン...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 1171 - 1176
Main Authors 守瀬, 善一, 香川, 幹, 溝口, 良順, 星本, 相淳, 杉岡, 篤, 池田, 匡宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.1171

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Summary:症例は51歳,女性.肝左葉の嚢胞性病変の精査目的に受診した.腹部CTで外側区域に嚢胞壁に造影効果を伴う多房性嚢胞性病変と内側区域側に連続する充実性部分を認めた.嚢胞性部分は胆管嚢胞腺癌で,周囲の充実性部分はその浸潤性変化と診断し,肝拡大左葉切除術を施行した.切除標本は外側区域を中心としたhoneycomb様を呈する多房性の嚢胞性部分とその周囲,特に内側区域側に拡がる充実性部分から成り,病理組織学的に広範な肝実質浸潤,胆管内進展,リンパ節転移および肝内転移を伴う胆管嚢胞腺癌と診断された.術後1年7カ月目に残肝再発をきたし再切除を施行.その後,多発肺転移,脳転移にて再々発したが,全身化学療法,ガンマナイフ治療を施行し,初回術後4年5カ月経過した現在,生存中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1171