高度な骨破壊と神経症状を呈したL-1腰神経根由来の嚢胞を伴う巨大な神経鞘腫の1例

脊椎骨,椎弓破壊,嚢胞を伴って後腹膜方向に大きく発育進展した巨大なL-1神経根原発の神経鞘腫の手術治療例を報告する. 症例は55歳,男性で,1年ほどの間に次第に進行する背部痛,右下半身の知覚鈍麻,痛覚鈍麻,跛行があった.単純レントゲン,CT,MRI,血管造影で第1腰椎神経根原発で,椎体椎弓根を侵蝕し,右後腹膜腔に大きな嚢胞を伴って発育した径22cm大の砂時計型腫瘤であった.腫瘤の後腹膜部分は肝臓を頭側に,腎臓を足方に,下大静脈を左方に強く圧排していた. 脊椎側と腹腔側アプローチの二期的な手術で,全摘出が可能であった. 組織はシート状,束状に増殖する紡錘形の細胞で,ビメンチン(+),アクチン(+...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 6; pp. 1654 - 1658
Main Authors 神原, 淳, 神原, 浩, 日野, 浩司, 金田, 象顯, 原田, 良昭, 荒木, 京二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:脊椎骨,椎弓破壊,嚢胞を伴って後腹膜方向に大きく発育進展した巨大なL-1神経根原発の神経鞘腫の手術治療例を報告する. 症例は55歳,男性で,1年ほどの間に次第に進行する背部痛,右下半身の知覚鈍麻,痛覚鈍麻,跛行があった.単純レントゲン,CT,MRI,血管造影で第1腰椎神経根原発で,椎体椎弓根を侵蝕し,右後腹膜腔に大きな嚢胞を伴って発育した径22cm大の砂時計型腫瘤であった.腫瘤の後腹膜部分は肝臓を頭側に,腎臓を足方に,下大静脈を左方に強く圧排していた. 脊椎側と腹腔側アプローチの二期的な手術で,全摘出が可能であった. 組織はシート状,束状に増殖する紡錘形の細胞で,ビメンチン(+),アクチン(+),α1-ACT(+),S100蛋白(+),c-kit(-),MIB-1陽性細胞は7%で,良性神経鞘腫と診断された.Antoni A型とAntoni B型が混在し,大きな嚢胞を形成していた.運動障害などの症状は腫瘍摘出後,速やかに消失した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.1654