多発肺放線菌症を疑う結節影の抗菌薬投与後遺残の1切除例

肺放線菌症は単発例がほとんどで多発例は少ない.今回多発肺放線菌症と考えられる多発結節で抗菌薬投与後に遺残した病変の切除例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.左膿胸治療時に胸部CTにて右肺に多発結節を認めた.多くの結節は抗菌薬治療後に消退したが,右S8の結節は残存し増大傾向を認めたため,悪性腫瘍の可能性を考え外科的切除を行った.病理診断から硫黄顆粒を認め肺放線菌症と診断した.多発結節をきたし一部消退をきたしたものの遺残する場合は,臨床経過を振り返り消退前に感受性のある抗菌薬が十分な期間使用されているか注目し鑑別を挙げることが大切である.また,病変部から胸膜への線状陰影を呈している場合は胸...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 6; pp. 599 - 603
Main Authors 桐山, 亮太, 岡川, 武日児, 親松, 裕典, 新美, 誠次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2019
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.599

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Summary:肺放線菌症は単発例がほとんどで多発例は少ない.今回多発肺放線菌症と考えられる多発結節で抗菌薬投与後に遺残した病変の切除例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.左膿胸治療時に胸部CTにて右肺に多発結節を認めた.多くの結節は抗菌薬治療後に消退したが,右S8の結節は残存し増大傾向を認めたため,悪性腫瘍の可能性を考え外科的切除を行った.病理診断から硫黄顆粒を認め肺放線菌症と診断した.多発結節をきたし一部消退をきたしたものの遺残する場合は,臨床経過を振り返り消退前に感受性のある抗菌薬が十分な期間使用されているか注目し鑑別を挙げることが大切である.また,病変部から胸膜への線状陰影を呈している場合は胸膜への炎症波及や胸膜肥厚の初期像の可能性があり,鑑別診断に肺放線菌症を挙げる事が望ましい.このように臨床経過や画像所見を鑑みることで肺放線菌症鑑別の一助になると考えられる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.599