小腸内視鏡にて術前に部位診断した小腸血管腫の1例

術前に部位診断をしえた小腸血管腫の1例を経験したので報告する.症例は69歳,男性.大腸癌術後,貧血を認めた.上部下部消化管内視鏡では出血源を認めず,小腸の精査を行った.カプセル内視鏡により小腸出血を疑い,ダブルバルーン内視鏡により小腸腫瘍と診断,出血源と考え点墨を行い,小腸部分切除術を施行した.腫瘍は5mmと小さく,病理組織診断より血管腫の診断となった.小腸出血の診断はこれまで解剖学的特徴から困難であった.また,これまで広く行われてきた血管造影,出血シンチによる検出はある程度の持続的出血がなければ困難である.本症例は小腸内視鏡により出血源を術前に同定しえた症例であり,今後,原因不明の消化管出血...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 7; pp. 2032 - 2035
Main Authors 高山, 忠利, 三原, 良明, 神野, 大乗, 森田, 祥子, 海賀, 照夫, 窪田, 信行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.2032

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Summary:術前に部位診断をしえた小腸血管腫の1例を経験したので報告する.症例は69歳,男性.大腸癌術後,貧血を認めた.上部下部消化管内視鏡では出血源を認めず,小腸の精査を行った.カプセル内視鏡により小腸出血を疑い,ダブルバルーン内視鏡により小腸腫瘍と診断,出血源と考え点墨を行い,小腸部分切除術を施行した.腫瘍は5mmと小さく,病理組織診断より血管腫の診断となった.小腸出血の診断はこれまで解剖学的特徴から困難であった.また,これまで広く行われてきた血管造影,出血シンチによる検出はある程度の持続的出血がなければ困難である.本症例は小腸内視鏡により出血源を術前に同定しえた症例であり,今後,原因不明の消化管出血において,カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡が診断の中心となっていくと考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.2032